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鎌倉・疲れた心を癒したい!円覚寺で坐禅体験

2023.04.11

四季の美しさとともに様々な歴史に触れることができる鎌倉には多くの寺院があります。
昨今、人気がある体験は歴史ある寺院での坐禅体験!自然に囲まれながら静寂な空間で心を癒す至福のひととき。
皆さんにもぜひ体験していただきたい鎌倉でおすすめの「坐禅体験」を紹介していきます。

坐禅とは?

坐禅とは禅宗の修行方法の基本です。
姿勢を正し、呼吸を整え、精神を統一することで自分と向き合う修行法であり、お釈迦様の修行から始まったとされています。そして、足を組み、手を組み呼吸を整えることが座禅の基本です。
「座禅」の正式な表記は「坐禅」であり、坐禅の「坐」という言葉には「すわる」という意味があります。どちらも「すわる」という意味を持ちますが、「座」は座る場所についての意味合いが強く、「坐」は座る動作そのものを強調しています。坐禅では座っている動作そのものが重要となりますので、「坐禅」が正しい表記とのこと。
常用漢字では「座禅」と表記されるため、こちらの方が見覚えあるように感じますが、「座禅」と「坐禅」の違いをぜひ覚えておいてくださいね!

坐禅の魅力

皆さんは坐禅に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?「自分を清める」、「瞑想」、「精神統一」など様々なイメージが湧くのではないでしょうか。
昨今では「マインドフルネス」という言葉も耳にしますよね。マインドフルネスとは簡単にいうと、「ネガティブ思考を手放しネガティブ感情を癒すこと」。お釈迦様が悟りを開いたときの心の状態がまさにマインドフルネスとされ、仏教の枠組みの中、坐禅や瞑想として伝承されてきました。

「坐禅」=「瞑想」ととらえる方もいらっしゃるかもしれませんが、似ている部分はあるものの、目的が大きく異なります。
「瞑想」とは目を閉じ、姿勢を正し、自分自身の内面に意識を向け、心を何かに集中させること。「坐禅」も同様に姿勢を正しますが、目は半眼の状態で目線を先に落とし、雑念を取り払って心の状態を常に無であるようにします。
自身の内心に意識を向けて自分を見つめ直すことが目的の「瞑想」。ただ坐るということが目的の「坐禅」。
似ているようで違っている坐禅と瞑想。いまいち違いがよく分からない方もいらっしゃるかもしれません。トライしてみてわかること、感じることがあるはずです。

次は坐禅体験をしてみたくなる魅力をお伝えしますね。坐禅の魅力は大きく3つ!
まず一つ目は「正しい姿勢になる」です。坐禅は姿勢を正した状態で行い、その姿勢を保ったまま座っている為、身体が無意識に正しい姿勢へと整います。
二つ目は「呼吸が整う」です。まずは自分の呼吸を見つめ、感じる。これだけでも呼吸が整い、心が落ち着いてきます。呼吸に伴って身体の様子がどうかを観察することで、呼吸がどのように身体に伝わっていくかを感じることが出来ます。
三つ目は「集中力が高まる」です。リラックスし、心を落ち着かせ、座ることに集中して精神統一を行うことで集中力が高まっていきます。
正しい姿勢で呼吸を整え、集中力を高めることが出来る坐禅は、身体にも心にも◎
坐禅体験してみたい気分になったのではないでしょうか?

坐禅のマナー

まず服装に関してですが、ゆったりと坐禅をするためには身体を締め付けない服装が良いでしょう。
動きやすいパンツや、長めのスカートが良いかもしれません。また、スカートの場合は、ひざ掛けやストールなどで足元を隠すのがマナーとされています。露出が多い服装を禁止しているお寺も多いため、露出が多い服装は控えましょう。

寺院は静寂な空間であり、坐禅は心静かな時間を過ごすための場所です。
大きな声で騒いだり、私語は控えましょう。また、マナーとして坐禅の際はスマートフォンや携帯電話などの電源はオフにしておきましょう。

円覚寺で坐禅体験してきました!

筆者は坐禅体験をすべく、円覚寺の坐禅会に行って参りました。
体験当日はあいにくの雨模様でしたが、自然に囲まれる円覚寺は雨の音も心地よい空間で、とても心癒される時間でした。

まずは坐禅の際の姿勢、座り方、呼吸方法を教えて頂きます。
「足を組み、腰を立て、背筋をまっすぐ伸ばし、顎を引き、胸郭を開く」これが基本の姿勢です。
足の組み方は「結跏趺坐」(けっかふざ)と呼ばれるもので、右の足を左の太ももの上にのせ、左の足を右の太ももの上にのせます。
これが意外と難しいのです。股関節回りが固いと両足を乗せるのがきつい…。
そんな方は「半跏趺坐」(はんかふざ)と呼ばれる、左の足を右の太ももの上にのせるだけの組み方でも構いません。足を組んで座ったら、地面に対して垂直に腰骨を立てます。垂直の方向に伸びる意識を持って背筋を伸ばします。

次に両肘をわき腹につけたまま、右手の小指をおへその下に。左手の小指を右手の上に合わせます。そして親指と親指を静かにくっつけていきます。この手の形は「法界定印」(ほっかいじょういん)と呼ばれます。この手の組み方は、坐禅が崩れてしまうときに手も崩れる為、のちに説明する「警策」(きょうさく)を与える際の判断にもなるとのこと。

姿勢が整ったら目線は一メートル先に目を落とします。すると、自然と半目状態になります。
最後に呼吸の整え方です。まずは自分が息を吸っているのか、吐いているのかを感じること。鼻で息を吸い、深呼吸をするように身体で呼吸を感じていきます。自分の呼吸を見つめていくことで、自然と呼吸が穏やかになっていきます。静かにゆっくりと、鼻からの呼吸にまかせていきます。
以上が、基本となる姿勢と呼吸法。早速、心を癒す坐禅の時間が始まります。

坐禅が始まる前に「柝」(たく)または「拍子木」と呼ばれる四角い二つの木片で鳴らされる音で始まります。響き渡る音に身も心も引き締まります。
その後、礼をし、「引磬」(いんきん)と呼ばれる鐘の音が優しく鳴り響いて坐禅が始まります。
住職さん曰く、完全に無になるのはとても難しいとのこと。「坐禅をしている」ということを感じれば良いとのこと。
筆者は最初、姿勢を正して呼吸を整える、座禅の形を作ることに意識が集中してしまいましたが、時間経つにつれて、自然の音に囲まれながら座禅をしている空間をとても心地よく感じるようになりました。

さて、先ほど少し触れた「警策」ですが、坐禅を思い浮かべると見たことがあるのではないでしょうか。
警策とは、坐禅を行うときに修行者の肩や背中を打つ棒のことです。坐禅の姿勢が崩れていたり、法界定印の形が崩れていたりといったことがあると、坐禅に集中していないとして警策が与えられます。警策を与えられる際は、手を合わせて一礼をし、少し前かがみになり肩を打たれます。
終わった後は、再度一礼をして坐禅の姿勢に戻ります。打たれた後は、再度身も心も引き締まる感覚になります。

その時によって坐禅の時間は異なりますが、数十分ほど坐禅をして心を清めたところで、再度、引磬と柝の音が響き渡ります。一礼をし、これにて坐禅体験は終了。
感想としては、長く感じるようであっという間の体験時間。姿勢を正し、呼吸を整えることでとてもすっきりとした気分で坐禅体験を終えました。
慣れない姿勢で足を組んでいたので、終わった後は足が痛くなりました…。

どんな方々が坐禅体験に訪れるのかを聞いてみたところ、年齢層は幅広く、小学生が体験学習の一つとして坐禅をすることもあるとのこと。子どもから大人まで坐禅を通して得るもの、学ぶものがあるといったところも魅力の一つですね。
海外から訪れる方もいるとのこと。友人と体験するも良し、一人で坐禅の世界を味わうも良し。とにかく、興味を持ったら座禅をしてみることをおすすめします!

先程、海外から訪れる方もいるとお話ししましたが、ここで円覚寺の方から聞いた豆知識を。
2011年に亡くなったスティーブ・ジョブズが禅にハマっていたという話は有名ですが、これを機に禅に興味を持ったアメリカ人が多くいるそうです。
アメリカに禅を広めた日本人のうちの一人が円覚寺の正伝庵に住んでいた「鈴木大拙」だそうです。鈴木大拙は日本の仏教学者であり、文学博士で、禅についての著作を英語で著し、日本の禅文化を海外に広く知らしめたとのこと。世界に禅文化を広めた方が円覚寺にいらっしゃった方と知り、何とも感慨深いものがありました。

鎌倉で坐禅ができるスポット

鎌倉では坐禅体験が出来るスポットが円覚寺のみならず、いくつかあるので紹介していきたいと思います。
現在は新型コロナウイルスの影響もあり、坐禅会を休止している場所もありますので、訪れる際には調べてみてくださいね!

円覚寺

JR北鎌倉駅から歩いてすぐの円覚寺は坐禅体験で人気のスポット。
円覚寺ではいくつかの坐禅会が行われています。初心者でも気軽に坐禅体験が出来る場所です。

●暁天坐禅会
場所:仏殿
開催日:毎日(12/30~1/7休会)
時間:毎朝6:00開始
参加費:志納
予約不要、初心者◎

●選仏土曜坐禅会・選仏日曜坐禅会
場所:選仏場
開催日:土曜日(毎週)、日曜日(第1、第3)
時間:14:30~16:00
参加費:1000円
予約不要、初心者◎

●月替わり坐禅会
場所:大方丈
開催日:月によって異なる
時間:9:40~
各回会費:1000円(小・中学生500円)
予約不要、初心者◎

●オンライン坐禅会
開催日:WEBサイト参照

寺院名円覚寺
住所〒247-0062
神奈川県鎌倉市山ノ内409
アクセスJR横須賀線 北鎌倉駅下車徒歩約1分
拝観時間8:00〜16:30(12月〜2月は16:00)
拝観料大人:500円(高校生以上)
小人:200円(小学生以上)
URLhttps://www.engakuji.or.jp/

建長寺

建長寺でも初心者も気軽に参加できる坐禅会が開催されています。
また、年に2回、二日間に渡って修行のような体験が出来る坐禅会も開催されています。

●坐禅会
場所:建長寺方丈(変更の場合あり)
開催日:毎週金曜・土曜日
時間:15:30~16:30
参加費:不要
予約不要、初心者◎

●水無月・臘月坐禅会
開催日:年2回、原則として6月・12月の第1土曜〜日曜日1泊2日
詳細はWEBサイト参照。
坐禅、看経、作務、作法によった食事等、まさに修行のような二日間を過ごすもの。

寺院名建長寺
住所〒247-8525
神奈川県鎌倉市山ノ内8
アクセスJR横須賀線 北鎌倉駅下車徒歩約15分
北鎌倉駅よりバスで約5分(江ノ電バス「鎌倉駅」行き「建長寺」下車)
拝観時間8:30〜16:30
拝観料大人: 500円(高校生以上)
小人: 200円(小学生以上)
URLhttps://www.kenchoji.com/

東慶寺

JR北鎌倉駅から歩いてすぐ、一年を通して様々なお花を楽しむことができる東慶寺。
境内が美しく、歴史を感じる空間で、継続的に坐禅に参加する意志ある方のみが参加できる坐禅会です。
未経験者は歓迎とされていますが、体験教室ではない為、観光などでの単発的な参加は不可となっています。

開催日:毎週日曜日(毎月第1日曜日は休会・その他臨時休会あり)
時間:7:00~9:00
参加費:500円
予約不要、初心者◎(ただし、継続的参加の意思がある方)

寺院名東慶寺
住所〒247-0062
神奈川県鎌倉市山ノ内1367
アクセスJR横須賀線 北鎌倉駅下車徒歩約3分
拝観時間9:00~16:00
拝観料なし
URLhttps://tokeiji.com/

報国寺

竹林で有名な報国寺ですが、こちらでも坐禅会が行われています。
こちらで行われる座禅はHP上にも「厳しい内容の坐禅会」とあるように、初心者には厳しい坐禅会ですので、坐禅に慣れ、本格的に行いたい方にお勧めです。
※現在(2022年12月)のところ新型コロナウイルスの影響で坐禅会が休止されていますので、再開に関してはWEBサイトをご確認ください。

●日曜坐禅会
開催日:毎週日曜日
時間:8:00~10:30
参加費:不要
予約不要、初心者△

寺院名報国寺
住所〒248-0003
神奈川県鎌倉市浄明寺2-7-4
アクセスJR横須賀線 鎌倉駅から京急バスで「浄明寺」下車、徒歩3分
拝観時間9:00~16:00
拝観料200円
URLhttps://houkokuji.or.jp/

大船観音寺

JR大船駅から見える観音様。1929年に永遠平和のために地元有志が大船観音の建立に着手しました。高台から大船のまちを見守る観音様はまちのシンボルでもあります。こちらの大船観音寺でも坐禅会が開催されています。
※現在(2022年12月)のところ新型コロナウイルスの影響で坐禅会が休止されていますので、再開に関してはWEBサイトをご確認ください。

●日曜坐禅会(坐禅と茶話会)
開催日:毎週日曜日
時間:8:50~
参加費:300円
初回は前日までに要電話予約、初心者◎

寺院名大船観音寺
住所〒247-0072
神奈川県鎌倉市岡本1-5-3
アクセスJR大船駅西口より徒歩5~10分
拝観時間9:00~16:00
拝観料大人300円
中学生 200円
小学生 100円
URLhttps://oofuna-kannon.or.jp/

宝戒寺

1335年に足利尊氏が北条家の慰霊のために建立した古い歴史あるお寺で、花の名所としても知られています。宝戒寺での坐禅会は要予約で、人数が集まり次第開催される形となっています。
※現在(2022年12月)のところ新型コロナウイルスの影響で坐禅会が休止されていますので、再開に関してはWEBサイトをご確認ください。

寺院名宝戒寺
住所〒248-0006
神奈川県鎌倉市小町3-5-22
アクセスJR鎌倉駅東口より徒歩13分
または、JR鎌倉駅東口バス乗り場から八幡宮方面ゆきで「大学前」下車徒歩1分
拝観時間9:00~16:30
拝観料大人300円
中学生 200円
小学生 100円
URLhttps://hokaiji.com/

まとめ

今回は鎌倉で坐禅体験ができるスポットとともに、坐禅に関してご紹介しました。
歴史ある寺院で自然に囲まれながら心を癒す坐禅体験。初めての方も気軽に体験できますよ。
鎌倉を訪れた際には、ぜひ禅を学びながら心を癒してみてはいかがでしょうか。

記事を書いた人
鎌倉で生まれ育ち、地元が大好きな鎌倉っ子。海や山の自然、美味しい食べ物、そして歴史ある鎌倉を多くの人に知ってもらいたい、世界に広めたいと思っています。「鎌倉をもっと好きになった」と感じて頂く記事を紹介していきます。