公園

人混みから離れたタイムトリップ空間 鎌倉中央公園

2020.06.11

三方を山に囲まれた鎌倉は、海から内陸に入っていくと丘や小山があり、山々の間には「谷戸」と呼ばれる、細長く入り組んだ谷があります。
そんな鎌倉には、緑豊かな自然公園が点在しています。
この記事では、そんな鎌倉の自然公園の中から「鎌倉中央公園」をご紹介いたします。

かつての谷戸の農村風景を残す公園

鎌倉中央公園があるのは、鎌倉市の中心部。JR大船駅の南に位置する山崎地区の「山崎の谷戸」と呼ばれてきた谷戸です。
谷戸とは、丘陵地帯が長い間に削られてできた谷のことで、鎌倉には大小数多くの谷戸があり、昔から周囲の山から染み出してくる「しぼり水」を使って、低地では田んぼで稲作、斜面では畑、周囲の雑木林は燃料として利用されてきました。
山崎の谷戸でも、昔から谷戸の地形を生かした水田耕作や畑作が行われてきました。

現在、大部分が宅地開発されてしまいましたが、一部が鎌倉中央公園として整備され、市民活動団体の手によって、自然環境の保全や、農業体験など昔ながらの生活文化の継承が行われています。
また、災害時の広域避難場所にも指定されており、非常用飲料水や資材などが備蓄されている、防災公園としての機能も備えています。

動きやすい服装と歩きやすい靴で、鎌倉中央公園へ

鎌倉中央公園へのアクセスはいくつか方法がありますが、便利なのは、大船駅から約7分おきに出ている湘南モノレール。
大船駅から二駅目の「湘南町屋駅」で下車し、徒歩10分程度で公園の入口に到着します。

本数は少ないですが、JR大船駅やJR鎌倉駅から公園入口付近まで行くバスもあります。車の場合は、駐車場の事前予約が必要。詳しくは鎌倉市公園協会のホームページをご参照ください。

公園内はアップダウンのある坂道もあるので、歩きやすい運動靴と動きやすい服装がおすすめ。またこれからの季節は飲み物を持参し、水分補給しながら散策しましょう。

ジェットコースターのような湘南モノレール

さて、JR大船駅から湘南モノレールに乗車します。湘南モノレールは、大船駅と湘南江の島駅を結ぶ全長6.6kmのモノレール。
足元に線路がなく軌道にぶら下がるタイプの、世界でも珍しい「懸垂式モノレール」です。大船駅を出発するやいなやカーブやアップダウンを繰り返し、建物すれすれを走り抜けていく様子は、まるでスリル満点なジェットコースターのよう。

鎌倉中央公園へ向かうには、大船駅の二駅隣の「湘南町屋駅」で下車します。

改札を出ると、鎌倉中央公園へのアクセスが記された看板があるので、参考にしましょう。なお駅のすぐ横にコンビニエンスストアがあります。公園内には飲料の自動販売機しかないので、飲み物や食べ物などは、必要に応じここで購入しておくことをおすすめします。

駅前の道路を渡り、住宅街の中を通る道をまっすぐ進んでいきます。せっかくですので、道中も道沿いの植物を観察しながら向かいましょう。緑濃くなる季節。至る所で緑が勢いよくはみ出しています。

滝のように流れるキヅタやワイヤープランツ。

隙間から吹き出るように咲くドクダミ。

見頃の紫陽花。

季節ごとの植物を愛でながら過ごす、ゆったりした時間

10分程度で公園の入り口に到着。広大な鎌倉中央公園には、入口が複数ありますが、今回は一番大きな「清水塚口」から入りました。

舗装されたなだらかな坂道を下っていくと、バスロータリーがあり、その向こうには、木々に包まれた広大な敷地が広がっています。

■子供の森
ロータリーの右手にあるのは「子供の森」。木々の下に子ども向けの遊具があり、ベンチや芝生で親子連れがくつろぐ姿がちらほら。

■修景池
「子供の森」のすぐ向こうには、二つの池(上池・下池)があります。この二つの池は、かつて農業用の溜池として利用されていました。
池の向こうにはモリモリとした木々が広がり、静かな水辺を風景を楽しむことができます。

■湿生花園
二つの池の間にあるのが「湿生花園」。かつてこのあたりは、皇室に献上するお米がつくられたこともある田んぼだったそうです。
この湿生花園は、鎌倉市内でも有数の貴重な動植物が生息する湿地であるため、東側半分は野生動植物の保護を目的に、なるべく自然のままの形で残されています。

取材時期は6月上旬だったため、木道を奥へと進んだ一帯に、色とりどりの花菖蒲が満開となっていました。6月下旬になると、半夏生も楽しむことができます。

■庭園植物園
湿生花園を後にし、さらに奥へと進んだところにあるのが「庭園植物園」。イヌマキ、トベラ、ドウダンツツジなど、20種類以上もの生け垣の見本が展示されています。

庭園の向かい側には広々とした「ピクニック広場」があり、シートを広げてお弁当を食べる親子連れの姿もちらほら見られます。

谷戸風景が広がる公園奥部

公園の入口からピクニック広場にかけては、整備された都市公園の雰囲気がありますが、さらに奥へと進むと、一気に緑が濃くなります。

■ししいし
公園の「山崎口」すぐ近くにあるのが「ししいし」と呼ばれる巨大な石。伊豆の修善寺から鬼がやってきて暴れ、ちぎって投げつけた岩が「ししいし」という言い伝えがあるそうです(参照:『かまくら・山崎 谷戸と暮らし』山崎・谷戸の会)。
かつてししいしの周りには田んぼが広がっていたそうですが、現在は湿地と森が広がっています。

■野外生活体験広場
湿地の脇には、横に小川が流れ、木々に包まれた小道。木陰の空気は気持ちよく、草の匂いと鳥の鳴き声を五感で味わいながら、奥へと進んでいきます。

奥に広がるのは「野外生活体験広場」。広々した草地で、災害時の避難場所にもなります。

■田んぼ
広場の奥には田んぼが広がっており、市民参加で昔ながらの農作業が伝承されています。
かつての農村風景の面影が感じられ、すぐそばに広がる住宅地とのギャップに、なんだかタイムトリップ感を味わえます。

■疎林広場
「野外生活体験広場」の周辺は、小高い山となっており、階段や小道を通ると上まで登ることができます。

上りきると「疎林広場」という広場が広がっています。ベンチもあるので、森林浴をしながらの休憩がおすすめです。

感染症対策をして、楽しい公園時間を!

まだまだ新型コロナウイルスに気が抜けない日々ですが、緊急事態宣言が解除され、少しずつ日常が動き出しはじめました。
市街地からほど近い場所で、人混みから離れ、ゆったりした緑の風景を味わえる自然公園は、この時期だからこそおすすめのスポットです。

なお新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、鎌倉市が公園利用者に下記の注意事項を呼びかけています。注意しつつ、公園での時間を楽しみましょう。

・大人数で近くに集まって遊ばない。
・人がたくさん集まる場所を避ける。
・公園には長時間いない。譲り合って使う。
・遊具は、一度に大人数で使わない。
・遊んだ後は、必ず手洗い、うがいをする。
・マスクを着用する。

鎌倉中央公園
〒247-0066 鎌倉市山崎1667番
TEL 0467-45-2750 休園日 なし
開園時間 8:30〜17:15 (7、8月は7:30~18:00)
入場料 無料
駐車場 あり(要予約)
URL http://kamakura-park.com/go/central_park/index.html

記事を書いた人
逗子在住。外資系出版社勤務の傍ら、2016年よりライターとして活動開始。2020年2月よりフリーランス。街角の園芸活動や植物に魅了され「路上園芸学会」を名乗り魅力を発信。 ウェブメディアを中心に、街歩きや植物に関する取材記事、インタビュー記事などを執筆。2016年よりデザイナーの藤田泰実とともに路上観察ユニット「SABOTENS」としても活動。組み合わせると路上園芸の風景が作れる「家ンゲイはんこ」の制作や、国内外での作品展示・グッズ販売を行う。