「竹の寺」として親しまれる、鎌倉を代表する人気観光スポット『報国寺』。鎌倉の竹林といえば報国寺、と思い起こす人も多いのではないでしょうか。
約2,000本の孟宗竹(もうそうちく)が織りなす美しい竹林は、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」でも三つ星を獲得し、外国人のツーリストでも賑わっています。この記事では、多くの人々を魅了する報国寺についてお伝えしていきます。
美しく整った癒しの竹林
清々しく凛として天に伸びる竹に囲まれた、報国寺の竹林で過ごす時間。その幻想的な美しさに目を奪われます。よく晴れた日の木漏れ日にも、霧雨の日の色濃い緑にも、心が癒されます。
まずは竹庭の寺として有名な報国寺が多くの人に愛される理由について見ていきましょう。
『竹の寺』と呼ばれる理由
報国寺が竹の寺と呼ばれるのは、約2,000本もの孟宗竹が参拝する人々を出迎えてくれることから。竹の庭に一歩足を踏み入れると、天空に竹がまっすぐ伸びて静寂が広がります。
季節や天候によって表情を変えながら、その美しさで訪れる人々を楽しませています。その迫力は、ミシュラン三つ星を獲得するだけあって、圧巻。竹の庭に入って竹に囲まれると、思わず上を見上げて、その美しさに見惚れてしまうことでしょう。
人を惹きつけてやまない報国寺の竹林
落ち着いた雰囲気を醸し出す報国寺の竹の庭の魅力は、竹の庭の小径を歩くと竹に囲まれるので、体全体で竹林の美しさを感じ取れるということ。
竹の隙間から木漏れ日が入る様子は見た目に美しいですが、見た目だけではなく、耳を澄ますとそこにもまた竹林の良さが感じられます。竹の間を風が吹き抜けると、葉が擦れてサヤサヤと音が鳴るのです。さらに、鳥のさえずりまで聞こえてくれば、この上ない癒し空間が広がります。
報国寺の歴史
報国寺の創建は1334年(建武元年)で、開山に仏乗禅師天岸慧広が招かれました。開基は足利家時であり、家時を弔うために上杉重兼によって創建されたと言われています。足利家と上杉家の菩提寺として繁栄しました。
報国寺の境内にはやぐらがありますが、開基の足利家時と永享の乱(えいきょうのらん)で自害した足利義久が埋葬されている墓と伝えられています。義久の死により関東の足利公方が滅んでしまったため、関東足利氏最後の地として、墓地が作られたそうです。竹の庭という爽やかな印象の報国寺ですが、訪れた際には歴史深い一面もぜひ感じてみてください。
竹の庭以外にも!報国寺の見どころを紹介
報国寺といえば竹の寺をイメージする人が多いかもしれませんが、実際には他にも見逃せない見どころがたくさんあります。様々な角度から報国寺を堪能してみましょう。
新緑と共に楽しみたい枯山水
報国寺の竹の庭のエリアに入っていくと、見るだけで心が整うような、美しい枯山水が出迎えてくれます。こちらの枯山水は、創建当初の石庭が再現されています。
新緑の季節には、緑に囲まれた枯山水と新緑の相性は抜群で、まさに癒しの光景。砂紋は様々な模様があるとのことなので、時間をかけて楽しんでみてください。
苔の緑と木々の調和
報国寺の境内には、何ヵ所か苔むした場所があります。趣のある雰囲気に苔の緑が加わって、さらに心が奪われる光景に。
特に目を引くのが、山門を入ってすぐの参道です。山門越しに苔が美しい参道が続く様子は、歴史ある報国寺の情緒あふれる様子を強調しているようです。立派に佇む木々の下に苔の絨毯が広がり、心が休まるスポットといえるでしょう。
境内で苔を楽しめる場所は複数あり、それぞれ異なる雰囲気を感じられます。自分好みの場所を探してみてはいかがでしょうか?また、雨上がりには苔が色濃く艶めくので、そちらも必見です。
心を休める時間が持てる休耕庵
境内を進み、竹林の一番奥にあるのが報国寺の茶室「休耕庵」です。
竹林を囲むように席が配されていて、鳥のさえずりや滝の音、そして竹の葉がすれる音を聞きながらお茶を楽しむのに最適な環境です。ランチ後は混み合うので、落ち着いて楽しむことのできる午前中の訪問がおすすめ。
拝観料と一緒にお抹茶券を600円で購入することで、お抹茶と干菓子を味わうことができます。心穏やかな時間を過ごすのに絶好の機会です。
受付時間 | 9:00~15:30 |
抹茶(干菓子付) | 600円 |
歴史を感じる建造物
参拝する際には、趣深い建造物にもぜひ目を向けてみてください。
本堂
山門を入ってまっすぐ進むと、右手側に堂々とした様子で佇む銅葺きの建物。こちらの本堂には、南北時代の仏師・宅間法眼(たくまほうげん)が造ったと言われる、鎌倉市指定文化財・釈迦如来坐像(しゃかにょらいざぞう)が祀られています。
鐘楼
本堂に向かって左手にあるのが、報国寺で最も古い建物である鐘楼です。宝暦7年(1757)に作られたとのこと。鐘楼は茅葺き屋根が趣を感じられます。かつては本堂や他の建物も茅葺きだったそうで、当時の報国寺の姿を鐘楼を通して見ることができます。
やぐら
竹林を抜けると崖にやぐらが見えてきます。このやぐらは、先述したように足利家時(室町幕府の開祖)、足利義久のお墓。義久が幼くして自刃したという悲しい出来事のあった場所として、歴史を感じてみてはいかがでしょうか?
心を清める日曜坐禅会
毎週日曜日、報国寺では午前7時30分から日曜坐禅会が開催されます。一般公開されているので、経験の一つとして、興味のある人は参加してみては?
ただし、厳しい坐禅会のため、多少の覚悟は必要なようです。坐禅会を単なるイベントとして捉えるのではなく、坐禅の本当の姿を感じてみませんか?
報国寺の四季の楽しみ方をご紹介
報国寺は竹の庭があまりにも有名ですが、その他にも花々が咲くので、季節ごとに表情を変えて出迎えてくれます。季節ごとの楽しみ方をご紹介します。
【春】やわらかい陽気の中で楽しむ桜や竹の庭
春には、報国寺にも桜の花が境内を彩ります。桜の木は、豊かな緑が美しい山門を入ったエリアで出迎えてくれるので、報国寺に入った瞬間から、春の陽気に包み込まれます。緑と薄ピンクのコントラストはやわらかく優しい印象です。
さらに春の空気を感じながら竹の庭を散策すれば、ゆったりとした気分になれるので、日々の忙しさも忘れてリラックスできるでしょう。
白く可憐なオオデマリも咲き誇る時期なので、春の花の時期を存分に楽しんでください。
【夏】あじさいの幻想的な姿と涼やかさを楽しむ
梅雨シーズンからの報国寺の楽しみは、あちらこちらで緑の境内を彩るあじさいの花。山門の手前にもあじさいが咲き乱れるので、見頃の時期に訪れることができれば、趣のある山門とあじさいの絵画のような光景を見ることができます。
雨上がりの境内では、キラキラと雨つゆが輝くあじさいと竹林の両方に目を奪われるでしょう。幻想的な雰囲気を楽しめる季節です。
そして夏は、強い日差しを受けて青々とした新緑が美しい季節。緑の多い報国寺の境内では、木々の葉もそうですが、苔や竹林も濃い緑が印象的です。
真夏の暑さの中、竹林に一歩足を踏み入れると、涼やかさを感じられる気持ちの良いシーズン。ちょっとした避暑地として、夏の報国寺を訪れてみてはいかがでしょうか?
【秋】もみじとイチョウ、竹林が醸し出す風情
秋の報国寺では、真っ赤に染まるもみじと黄色く彩るイチョウが美しい姿を見せてくれます。境内の至る所で、もみじを見ることができるので、緑と赤の風情ある組み合わせを堪能できる季節です。苔の上に赤や黄色に染まった葉が落ちる様子は、趣を感じられる秋ならではの絶景。
紅葉を楽しもうと多くの人で溢れかえる秋の鎌倉ですが、周辺の紅葉スポットよりは穴場スポットといえます。静かにゆっくりと紅葉や竹林を楽しみたい人におすすめのスポットです。
【冬】竹林の眺めながら温かいお茶で心地よい一服
冬の境内には、椿が咲き誇ります。赤や白のパキッとした色味が、竹林の緑豊かな境内で目立っています。冬でも静かで美しい竹の庭は、報国寺の厳かな様子を際立てます。また体が冷えたと感じたら、竹の庭の中で温かいお茶を飲んで一服するのがおすすめ。のんびりと鎌倉の冬を堪能することができるでしょう。
報国寺に行くなら…衣張山ハイキングコースもおすすめ
報国寺を訪れるなら、自然を堪能するハイキングはいかがでしょうか?報国寺でマイナスイオンを感じて、さらに森林浴と絶景で最高のリフレッシュタイムを過ごすことができるでしょう。
報国寺の近くからは、『衣張山ハイキングコース』に進むことができます。衣張山は、源頼朝が暑い夏の日に、白い布で山を覆って雪に見立てて涼をとったという伝説のある山。ハードな登りの山道がありますが、その先に待っているビュースポットの景色を見れば、疲れも一気に吹き飛びます。天気が良い日には、映画の舞台にもなった広大な海・鎌倉の街・富士山を望む絶景が迎えてくれますよ。
報国寺で癒しの竹の庭散策を
竹の庭で有名な報国寺。趣のある雰囲気に魅了される人の多い鎌倉の名所の一つです。
竹林以外にも多くの見どころがあります。魅惑的な竹林の景色を眺めながら、座禅とお茶で鎌倉での穏やかなひとときをお楽しみください。
寺院名 | 報国寺 |
住所 | 神奈川県鎌倉市浄明寺2-7-4 |
電話番号 | 0467-22-0762 |
拝観時間 | 9:00~16:00※年末年始 12/29~1/3 は拝観を休止※天候等により拝観を休止する場合があります。 |
拝観料 | 大人(高校生以上):400円 小・中学生:200円 |
公式URL | https://houkokuji.or.jp/ |