博物館・美術館

鎌倉の歴史に触れよう!北条氏展も開催中の鎌倉歴史文化交流館をご紹介

2023.07.13

今、鎌倉といえば話題のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。
源平の戦いから、鎌倉幕府の誕生を背景に、鎌倉を舞台に繰り広げられる迫力ある世界観に多くの視聴者が引き込まれている作品。
三谷幸喜氏が手掛けるインパクトのある脚本と、俳優小栗旬さん演じる北条義時をはじめ、豪華キャストが一堂に集結しているこのドラマは大きな話題を呼んでいます。
舞台となっている鎌倉では多くの観光客で賑わっている中、ドラマの放映に伴い、様々な場所で企画展などが目白押しです。
今回は企画展の一つ、『北条氏展』が行われている「鎌倉歴史文化交流館」をご紹介します。
周辺のおすすめ観光地もご紹介しますので、鎌倉歴史文化交流館を訪れた際のプランの参考にしてみてくださいね!

鎌倉歴史文化交流館へのアクセスは?

JR鎌倉駅西口を出てまっすぐ進み、市役所前交差点を右折。
今小路と呼ばれる道をしばらく進むと左手に「銭洗弁財天」を示す看板とパーキングが見えます。
そこを目印に左折します。
住宅街をしばらく進行方向に向かって歩き、突き当りを右折するとこの写真の場所にたどり着きます。
鎌倉駅からは徒歩8分ほど。
近代的で綺麗な建物が「鎌倉歴史文化交流館」です。

閑静な住宅地にひっそりと建つ立派な博物館

次に鎌倉歴史文化交流館の歴史に関して紹介します。
鎌倉歴史文化交流館は、世界的に著名な建築家であるノーマン・フォスター氏の設計事務所(フォスター・アンド・パートナーズ)が個人住宅をリノベーションした博物館です。
ノーマン・フォスター氏はイギリス生まれの建築家で、「香港上海銀行・香港本店ビル」やアップル新社屋「アップル・パーク」などユニークな形や地球環境を意識したデザインにこだわるなど、多くの有名建築に携わってきました。
そんな有名な建築家が携わった建物であるといったところも見どころの一つです。

元々は個人用住宅として建てられた建物で、センチュリー文化財団より鎌倉市に土地と建物が寄付され、改修工事が行われて2017年に「鎌倉歴史文化交流館」として開館しました。

歴史を刻む土地

鎌倉歴史文化交流館が建つこの谷戸はかつて「無量寺谷(むりょうじがやつ)」と呼ばれ、付近一帯には13人の重臣の一人である鎌倉時代の有力御家人、足達氏の居館や無量寺院があったと言われています。
また、発掘調査では屋敷の一部や、やぐら、庭園遺跡などが発見されています。

無量寺跡

敷地内にある長い階段を上っていくと見えるのは「合槌稲荷社跡」。
現在、合槌稲荷社は鎌倉市山ノ内にある「葛原岡神社」内に遷座されています。
遷座されたのは2013年で、鎌倉歴史文化交流館の開館にあたって、政教分離の原則から宗教施設を公共の場に置けないことが理由とされています。

合槌稲荷社跡への道のり

合槌稲荷社の跡

合槌稲荷社を参拝する際には葛原岡神社へ

葛原岡神社は源氏山公園や銭洗弁財天へ向かう先にある神社です。
現在そこに遷座された合鎚稲荷社は、鎌倉時代の刀鍛冶(刀工)・五郎入道正宗に縁のある稲荷社とされています。鎌倉歴史文化交流館を見学した後に、ウォーキングを兼ねて葛原岡神社を訪ねてみるのも良いかもしれません。

葛原岡神社

住所〒247-0063
神奈川県鎌倉市梶原5-9-1
アクセス・JR横須賀線・江ノ島電鉄 鎌倉駅 西口下車 銭洗弁財天ルートで 徒歩 35 分
・境内には無料の駐車場( 6台 )があります。
 ※土・日曜日と巳の日は、神社までの道に交通規制がかかり進入禁止になります。
電話番号0467-45-9002
参拝時間24時間(社務所受付時間:9:00~16:00)
URLhttp://www.kuzuharaoka.jp/

【鎌倉歴史文化交流館】鎌倉の歴史を見て学ぶ

鎌倉歴史文化交流館提供

さて、鎌倉歴史文化交流館の中へと進めて参りましょう。中へ入ると鎌倉の歴史を感じられる空間が広がっています。
通史や中世史など、展示室それぞれに異なった世界観がありますよ。
おしゃれな外観の建物ですが中もとても魅力的な造り。展示品はもちろんのこと、その空間自体も訪れる人を魅了しています。

流鏑馬写真が飾られるエントランス

石をふんだんに使い、大きなガラスから光が差し込むエントランス。中に入ると、壁には流鏑馬の写真が展示されています。

赤絲威鎧

鎌倉歴史文化交流館提供

少し進むと拝観者を迎えてくれるのがこの赤絲威鎧。
「鎌倉武士の鑑」と呼ばれた鎌倉幕府の御家人・畠山重忠が武蔵御嶽神社に奉納したと伝わる、大鎧(国宝)を現代の甲冑師がその鎧を模写し、選りすぐりの素材と伝統の技法で制作したものが飾られています。
現代の成人男性が着装できる大きさとのこと。力強さを感じるとても美しい鎧です。
大河ドラマ内でも描かれていた畠山重忠と三浦氏の戦い。
吾妻鏡によれば、重忠が衣笠城を襲った際、三浦義明は「われ源家累代の家人として幸いに貴種再興のときに逢うなり」と語り、一族を逃がしたとされています。
ドラマのワンシーンを思い出しながら展示品を見ることが出来るのも良いですね。

時代を繋ぐ刀

先程紹介した合槌稲荷社のところで出てきた、鎌倉時代の刀鍛冶(刀工)・五郎入道正宗の24代末裔・綱廣による刀も展示されています。
「正宗工芸」は、日本刀剣史上もっとも著名な刀工の一人であり、鎌倉時代末期に「相州伝」と呼ばれる作風を確立した五郎入道正宗の技術を引き継いでいます。
現在は、刃物や鉄工芸品の制作も行われ、鎌倉を代表する伝統工芸となっています。
鎌倉時代から受け継がれる、伝統的な本物の刀鍛冶。
鎌倉の御成町には、その伝統を引き継ぐ「正宗工芸美術製作所」があります。包丁なども売られていますので、お土産探しに訪ねてみるのも良いかもしれません。

正宗工芸美術製作所

住所〒248-0012
神奈川県鎌倉市御成町13-29
電話番号0467-22-3962
定休日火曜日

出土品が数多く揃う中世展示室

鎌倉歴史文化交流館提供

開放的な印象の中世展示室。
こちらの展示室では、源頼朝が鎌倉に居を構えて以降に都市として発展した中世の様子を紹介しています。
壁一面が窓になっているため、紫外線の影響を受けにくい石造物や陶磁器類など出土品が中心となった展示室です。
元はリビングだったこの部屋。元の部屋の魅力を残しながら、鎌倉の歴史を学べるように工夫が施されています。

最新技術を使った展示で楽しむ

館内には、ジオラマ・プロジェクションマッピングやVRをはじめとする最新の映像展示もあります。
鎌倉市と湘南工科大学が協働で開発した、ヘッドマウントディスプレイを利用し、源頼朝が建立した幻の大伽藍を臨場感あふれる3DCG映像で再現したデジタルコンテンツ「VR永福寺」は大変人気な体験コーナーとなっています。

永福寺は、源頼朝が源義経や藤原泰衡を初め、奥州攻めで亡くなった人々の鎮魂のために1192年に現在の市内二階堂に建立しましたが、室町時代に焼失した後に廃寺となりました。
詳細な資料が少ないとされている永福寺ではありますが、市の発掘調査で明らかになった様子をもとに最新の技術を駆使して再現されています。
ゴーグル型の機器・ヘッドマウントディスプレイを装着して映像を見ることで、境内を散策する疑似体験ができます。

「北条氏展」でさらに歴史を詳しく。大河ドラマをより深く。

現在、鎌倉歴史文化交流館では北条氏に関わる企画展が開催されています。
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公・北条義時は、武家政権確立へと道を切り開いた人物であり、「武家の古都 鎌倉」の実質的な創始者として大きな存在感を残した重要人物です。

鎌倉歴史文化交流館提供

重要な存在となった北条氏に関する展示が4期に渡って開催されている「北条氏展」を見ることで、歴史を学び、ドラマをより一層楽しむことができるのではないでしょうか。
第1期「伊豆から鎌倉へ―北条氏の軌跡をたどる―」(1月4日~3月26日)に関してはすでに展示を終了しています。第2期「鎌倉武士の時代―幕府草創を支えた宿老たち―」は間もなく展示が終了。(4月9日~6月11日)。
第3期と第4期に関して時期は未定ではありますが、これから展示が始まりますのでぜひ足を運んでみてください。
第3期「(仮)北条義時とその時代」、第4期「(仮)北条義時の子供たち」。

源平合戦図屏風

北条氏展では、屋島、壇ノ浦の戦いを描いた「源平合戦図屏風」が展示されています。
那須与一の扇の的、源義経の八艘飛など、源平合戦の名場面がちりばめられている屏風は、まさに鎌倉殿の13人を見ていれば大変興味深く見入ってしまう展示品です。

鎌倉文華館鶴岡ミュージアム 「鎌倉殿の13人 大河ドラマ館」

現在、鶴岡八幡宮境内にある「鎌倉文華館鶴岡ミュージアム」で行われている「鎌倉殿の13人大河ドラマ館」に、入館の際に手渡されるパンフレットを提示すると、鎌倉歴史文化交流館・鎌倉国宝館へ各1回無料で入場することが出来ます。(2023年3月31日まで)

「鎌倉文華館鶴岡ミュージアム」で行われている「鎌倉殿の13人大河ドラマ館」では、大河ドラマに関する作品概要や、資料をもとに当時を再現した鎌倉幕府のジオラマ、主要登場人物たちの衣装や小道具などが展示されており、ここでしか見られないコンテンツを見ることが出来ますよ。

イベント期間2022年3月1日(火)~ 2023年1月9日(月・祝)
入場料大人 1,000円(高校生以上)/小人 500円(小・中学生)
住所〒248-0005
神奈川県鎌倉市雪ノ下2丁目1-53 鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム
[鶴岡八幡宮境内]
電話番号0467-39-5306
開館時間9:30~17:00(最終入館16:30)
※祭事等に合わせ変動する場合あり
休館日無休(展示替え休館日除く)
公式HPhttps://taiga-kamakura.jp/

鎌倉国宝館

「鎌倉国宝館」は昭和3年に開館した歴史・美術に関する博物館です。
鎌倉国宝館でも鎌倉殿と北条氏に関する展覧会を開催しています。
鎌倉歴史文化交流館の北条氏展とセットでみることで、鎌倉時代の武士のことだけでなく、文化的な側面も見ることができます。

入場料一般700円(高校生以上)、小・中学生 300円
住所〒248-0005
神奈川県鎌倉市雪ノ下2丁目1-1
電話番号0467-22-0753
開館時間9:00~16:30(最終入館16:00)
休館日月曜日(祝日の場合は翌平日)
公式HPhttps://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kokuhoukan/28tennjikai.html

ロケーションと雰囲気も抜群の博物館「鎌倉歴史文化交流館」

最後に鎌倉歴史文化交流館のロケーションの良さを紹介します。
博物館といっても、短時間で館内を一周できる内容となっています。
しかし、敷地内を歩いているとのんびりとしたくなる感覚になります。著名な建築家が設計した建物はもちろんのこと、敷地内の庭園を含めて歴史を感じる素晴らしさ。
合槌稲荷社跡に続く階段を上った先から見渡す景色は、海が見え、鎌倉の町並みを一望することが出来ます。
鎌倉の良いところは多くの歴史を持つ一方で、心穏やかになる自然の景色が目の前に広がるところでもあります。

閑静な住宅街の先、歴史を学び、感じる場所。
「鎌倉殿の13人」の世界に浸りながら、ゆっくりと時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

鎌倉歴史文化交流館

入場料一般400円 小・中学生150円
住所〒248-0011
神奈川県鎌倉市扇ガ谷1丁目5-1
電話番号0467-73-8501
開館時間10:00~16:00(最終入館15:30)
休館日日曜・祝日、年末年始、展示替え期間など
公式HPhttps://www.city.kamakura.kanagawa.jp/rekibun/yoshitoki20220409.html
記事を書いた人
鎌倉で生まれ育ち、地元が大好きな鎌倉っ子。海や山の自然、美味しい食べ物、そして歴史ある鎌倉を多くの人に知ってもらいたい、世界に広めたいと思っています。「鎌倉をもっと好きになった」と感じて頂く記事を紹介していきます。