鎌倉を代表する名所・鶴岡八幡宮

鎌倉駅東口から徒歩約10分の場所にある「鶴岡八幡宮」は、鎌倉といえばまずココ、と言っていいくらい国内外から数多の参拝客が訪れる、鎌倉を代表する観光名所です。

鶴岡八幡宮は、康平6年(1063)に鎌倉幕府をひらいた源頼朝の祖先・源頼義が奥州を平定して鎌倉に戻り、京都の石清水八幡宮から御分霊を勧請して由比ヶ浜にお祀りしたのがはじまりと言われています。石清水八幡宮は、源氏の氏神として出陣に際しご加護を祈願した場所でした。

その後、源頼朝が治承4年(1180)に由比ヶ浜にあった八幡宮を現在の場所にお還しし、鎌倉幕府の中心的場所として、現在まで伝わる上下両宮の姿に整えました。
以後、鶴岡八幡宮は武家の精神のよりどころとなり、現在でも鎌倉の代表的史跡として、国内外から多くの参拝者が訪れる場所となっています。

桜の名所でもある鶴岡八幡宮。満開の時期には、境内や周辺の至る所で桜を楽しむことができます。この記事では、鶴岡八幡宮の桜をご紹介します。

鶴岡八幡宮の参道・段葛の桜並木

鎌倉の目抜き通りでもある「若宮大路」は、源頼朝によって造られた鶴岡八幡宮の参道。由比ヶ浜の「一ノ鳥居」が起点となり、鶴岡八幡宮までの約2kmを結ぶまっすぐの道です。「日本の桜名所100」にも選ばれている若宮大路は、沿道に桜が植えられ、春になると通りを歩く人たちの目を楽しませてくれます。

若宮大路の中央に堂々とそびえ立つのが「二ノ鳥居」です。

ここから鶴岡八幡宮の入り口である「三ノ鳥居」までは、盛土され一段高くなった「段葛」と呼ばれる道になっています。この段葛は、源頼朝が妻である北条政子の安産を祈願して造った参道です。

段葛の両脇には桜が植えられており、3月下旬から4月上旬の開花シーズンには、見事な桜のトンネルとなります。

ゆっくりと段葛の花見をしながら500メートルほど歩いていくと、鶴岡八幡宮の入り口である「三ノ鳥居」が見えてきます。

源平池を彩る桜の木々

三ノ鳥居をくぐると、鶴岡八幡宮の境内となります。すぐ前に見える橋が「太鼓橋」。

その両脇には、上宮に向かって右手に「源氏池」、左手に「平家池」が広がります。池のほとりには桜が植えられ、満開の時期になると池の上にまで伸びた桜の枝が水面に映って見事な光景となります。

鎌倉江の島七福神のひとつ・旗上弁財天社

源氏池の中の島に、 源氏にちなんだ白旗に囲まれ祀られているのが「旗上弁財天社」です。

橋を渡ると、白い鳩が出迎えてくれました。

この旗上弁財天社には、芸能の神様である弁財天様が祀られています。鎌倉江の島七福神の参拝コースの一つともなっており、「鎌倉江の島七福神」と記された御朱印をいただくことができます。

静御前ゆかりの「舞殿」

旗上弁財天社へのお参りを済ませ、境内を奥へ進むと見えてくるのが「舞殿」です。

舞殿は、源義経の愛妾だった静御前が義経を慕い、心を込めて舞った若宮廻廊跡に建っています。現在でも4月に開催される鎌倉まつり(2020年は中止)では、それにちなんだ「静の舞」が行われます。

鎌倉の街を一望できる上宮

舞殿を過ぎ奥へ進むと大石段があり、その上が上宮となっています。

文政11年(1828)、江戸幕府11代将軍・徳川家斉によって造営された代表的な江戸建築で、 国の重要文化財に指定されています。
応神天皇・比売神・神功皇后が祀られており、鶴岡八幡宮のご本殿です。

上宮の左手にある「丸山稲荷社」は、八幡宮創建よりも前から建つ、境内最古の建造物と推定されています。

上宮の楼門にかかる扁額「八幡宮」の「八」の字は、2羽の鳩が向き合う形をしています。これは、八幡様の使いが鳩であることにちなんでいます。

なお境内では、この「鳩」にちなんだ鳩みくじも引くことができます(初穂料200円)。

大石段を登り後ろを振り返ると、由比ヶ浜までまっすぐ伸びた若宮大路を中心に、鎌倉の街を一望できます。空気の澄んだ日には、水平線や伊豆大島を見渡すことができるそう。
ぜひ上宮からの気持ち良い眺めを楽しんでみてください(楼門内、ご本殿付近は撮影禁止) 。

国指定の史跡・境内

上宮へのお参りを済ませたら、広い境内を散策しましょう。

■「親」銀杏と「子」銀杏

大石段の脇には、御神木として長く親しまれた大銀杏がありました。

樹齢1000年とも言われていましたが、2010年に強風のため倒木。倒木前は、推定30メートルもの高さがあり、幹の太さは約7メートルでした。
現在はひこばえが育ってきており、「子」銀杏として、元の大銀杏(「親」銀杏)とともに成長を見守っています。

■祖霊社

舞殿に向かって左奥にある祖霊社は、英霊をはじめ祖先のおみたまがお祀りされています。

■若宮

上宮とともに、国の重要文化財に指定されている若宮。ご社殿右側にある大きなビャクシンの木は、源実朝が宋から苗を取り寄せて植えたと言われる古木です。

■由比若宮遙拝所

鶴岡八幡宮は、源頼朝の祖先・源頼義が京都の石清水八幡宮から御分霊を勧請し、由比ヶ浜にお祀りしたのがはじまりと言われています。材木座にある元宮・由比若宮を、鶴岡八幡宮境内よりお参りできるのが「由比若宮遙拝所」です。

■鶴亀石

「由比若宮遙拝所」のすぐそばにあるのが、鶴亀石。水で表面を洗うと、鶴亀の文様が輝き現れると言われる名石です。

■柳原神池

若宮のすぐそばにある池が「柳原神池」です。 “柳原”という地名の由来は、昔柳が多生していたからとも、柳の名木があったからともいいます。 6月の「蛍放生祭」、9月の「鈴虫放生祭」の祭場にもなり、紅葉の季節は見事な景観を楽しめます。

■白旗神社

柳原神池にかかる橋をわたり、 奥へ進んだところにあるのが白旗神社。黒塗りのご社殿が印象的です。

豊かな緑に包まれた鶴岡八幡宮は、季節ごとに移ろう自然が様々な表情を見せてくれます。
年間を通し様々な祭が執り行われる鶴岡八幡宮。9月の「例大祭」では、鎌倉武士を彷彿させる狩装束に身を包んだ射手が、馬で駆けながら馬場に配された3つの的を射抜く、「流鏑馬神事」も行われます。
ぜひ広大な境内を散策し、日本の四季の移ろいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

寺院名鶴岡八幡宮
住所〒248-8588
神奈川県鎌倉市雪ノ下2丁目1-31
電話番号0467-22-0315
拝観時間(宝物殿)8:30~16:00
拝観料(宝物殿)大人・中学生200円、小学生100円
URLhttps://www.hachimangu.or.jp/
記事を書いた人
逗子在住。外資系出版社勤務の傍ら、2016年よりライターとして活動開始。2020年2月よりフリーランス。街角の園芸活動や植物に魅了され「路上園芸学会」を名乗り魅力を発信。 ウェブメディアを中心に、街歩きや植物に関する取材記事、インタビュー記事などを執筆。2016年よりデザイナーの藤田泰実とともに路上観察ユニット「SABOTENS」としても活動。組み合わせると路上園芸の風景が作れる「家ンゲイはんこ」の制作や、国内外での作品展示・グッズ販売を行う。