公園

深い緑と水辺の景色を楽しむ 散在ガ池森林公園

2023.07.12

散在ガ池森林公園は、「鎌倉湖」とも呼ばれる散在ガ池を囲むように、約2.4キロメートルの散策路が整備された公園です。
深い緑に包まれた散策路は、ところどころにベンチやテーブルなども設置されており、ゆっくり歩きながら気持ちの良い緑を楽しめます。
この記事では、緑豊かな散在ガ池森林公園の見どころをご紹介します。

かつての農業用水・散在ガ池

散在ガ池森林公園は、鎌倉市今泉台にある都市公園。

現在の散在ガ池森林公園がある場所は、かつて全てが称名寺(今泉不動尊)持山でした。江戸時代末期に称名寺の住職が、この地を大船・岩瀬・今泉の3部落に無償で分与したことから、「散在の山」と呼ばれるようになったと言われています。

当時、今の大船や岩瀬の一帯には「大船千石」といわれた大水田が広がっていました。しかし水田に必要な水は、近くの砂押川しかなかったので、雨の少ない年などは水不足による争いが耐えなかったそう。
そこで明治2年、この地を統括していた小菅谷村(現在の横浜市栄区)の名主・梅澤与次右ェ門が部落の有志を集め、灌漑用の池をつくりました。
「散在の山中にある池」であるその池は、「散在ガ池」と称されるようになりました。

「散在の山」のルーツ・称名寺(今泉不動)

散在ガ池森林公園へ公共交通機関で行く場合は、大船駅からバスが便利。大船駅東口5番バス乗り場から「大船駅(循環)」へ乗り、「今泉不動」というバス停で下車します。

公園の入口(北口)はここから徒歩3分程度ですが、せっかくですので少し足を伸ばし、散在ガ池にゆかりのある称名寺(今泉不動)も訪れてみることにします。
「今泉不動」のバス停を降り、そのまま道なりにまっすぐ5分くらい歩いていくと、右手にゴルフ場の看板が見え、そのすぐ左が称名寺の入口となっています。

称名寺は、弘法大師空海によって1200年も前に開かれたという霊場。諸国巡礼の際、仙人のお告げを受けて不動明王の像を刻み祈ったところ、水が湧いたという伝説があり、それが「今泉」という地名の由来となっています。

境内を進んでいくと、本堂のすぐそばには、その弘法大師の伝説が残された「陰陽の瀧」という瀧が。「男瀧」「女瀧」という大小ふたつの滝が渓谷に流れ落ちています。

かつてはこの滝に打たれる人も多かったので、滝行をする人のおこもり堂もあったとか。向こうまで深い森が広がり、その手前で勢いよく流れる滝。あたりはひんやりと涼しい空気に包まれています。

深い緑に包まれた、神秘的な散在ガ池

称名寺を後にし、散在ガ池森林公園へ向かいます。
来た道を「今泉不動」のバス停付近まで戻り、手前の車道を左に曲がり「砂押川」にかかる橋を渡って進んでいくと、右手に公園北口が見えてきます。

舗装された道を進んでいくと見えてくる大きな池が、散在ガ池。

人工池と聞くと驚くほどの広々とした池です。池の畔では、春には桜、秋には紅葉、冬には野鳥の飛来と、季節ごとの景観の変化を楽しむことができます。
池の周りは深い緑に包まれており、神秘的な雰囲気が漂っています。

池を中心に、林や湿地などが保全され、その間に「馬の背の小径」「せせらぎの小径」「のんびり小径」といった散策路が整備され、ぐるりと一周できるようになっています。

北口付近にある「せせらぎの小径」は、沢に沿った木道の散策路。渓谷の景色を味わえますが、残念ながら現在は雨による土砂の堆積のため通行禁止となっています。
池の左手「のんびり小径」の入口付近にある建物が管理事務所。お手洗いや自動販売機もあるので、必要な方はここで済ませておきましょう。

山道を楽しむ「馬の背の小径」

池の右手「馬の背の小径」から「のんびり小径」へと、ぐるり一周してみます。

「馬の背の小径」は、その名の通り馬の背を歩くような、少し急な尾根道となっています。
階段や根が浮き出た山道、石など、足元がダイナミックに変化する散策路。途中には看板が設置され、公園の歴史や植生、園内で楽しめる虫や鳥などを学ぶことができます。

所々にベンチも置かれているので、休憩を取りつつ歩き進めることができます。

しばらく歩いていくと、木々が開け「富士山が見えます」と書かれた看板が。残念ながら取材時は曇天で見えませんでしたが、晴れた日には住宅地の向こうに富士山を望めるようです。

ほどなく「南口出口」の看板。南口を出て緑道を通ったところにあるバス停「半僧坊下」から、大船駅へバスで戻ることもできます。
また、建長寺方面や六国見山森林公園などへ向かうことができるハイキングコースも。お時間のある方は、鎌倉の自然や地形をよりたっぷり味わったりと、体調や時間によってコースのアレンジも可能なのが魅力です。

ゆるやかに散策できる「のんびり小径」

南口へは抜けず、「のんびり小径」を通り北口方面へと戻ることにします。
「のんびり小径」は、「馬の背の小径」に比べるとなだらかで広い散策路。周囲の緑の景色や鳥の声などをゆっくりと楽しみながら歩いていきます。

途中左手に見えるのが「石切場跡」。

このあたりの石は硬く質がよかったため、ここから石塔や石段などに使うための「かまくら石」を切り出したそう。むき出しの石に、力強く木々が根ざすさまがダイナミックです。

石切場跡を後にし、散策路をしばらく進むと、入口近くの管理事務所が見え、ゴールとなります。

水と緑を楽しめる自然公園

池をぐるりと囲むように、山道やゆるやかな散策路が整備された散在ガ池森林公園。水や森の景色、山の向こうの眺望など、1時間ほどの散策時間で様々な景色の変化を楽しめます。
半周して別の出口から帰ったり、公園外のハイキングコースへ抜けたりと、その日の気分で様々なコースの組み立てが可能。

市街地からほど近い場所ながら、森林浴や水辺の景色を存分に楽しめるのは、鎌倉ならではの魅力。ぜひ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
散策路は整備されていますが、急な坂道もあるので、歩きやすい靴で出かけられることをおすすめします。これからの季節は虫よけ対策もお忘れなく。

スポット名散在ガ池森林公園
住所〒247-0053
神奈川県鎌倉市今泉台7丁目1-930-1
TEL0467-47-1176(散在ガ池森林公園管理事務所)
休園日12月29日〜1月3日
開園時間8:30〜17:00
入場料無料
駐車場なし
URLhttp://kamakura-park.com/go/sanzaigaike_park/map.html
記事を書いた人
逗子在住。外資系出版社勤務の傍ら、2016年よりライターとして活動開始。2020年2月よりフリーランス。街角の園芸活動や植物に魅了され「路上園芸学会」を名乗り魅力を発信。 ウェブメディアを中心に、街歩きや植物に関する取材記事、インタビュー記事などを執筆。2016年よりデザイナーの藤田泰実とともに路上観察ユニット「SABOTENS」としても活動。組み合わせると路上園芸の風景が作れる「家ンゲイはんこ」の制作や、国内外での作品展示・グッズ販売を行う。