材木座海岸を望む桜の名所 光明寺

2023.07.24

材木座の海からほど近い場所にある光明寺。
広々としていてゆったりできる境内。そんな境内も、春の桜のシーズンには桜色に染まって華やぎます。オーシャンビューの眺めが堪能できる、鎌倉で最大規模と言われる山門も見どころの一つです。
多くの人を魅了する光明寺の桜シーズンとは?

浄土宗大本山・光明寺

材木座海岸の目の前にある光明寺は、広々した静かなお寺です。

浄土宗の大本山である光明寺の創立は、鎌倉時代の寛元元年(1243年)。開基は鎌倉幕府の第四代執権・北条経時、開山は法然上人の孫弟子である、然阿良忠上人(記主禅師)です。

北条経時が、鎌倉で浄土宗の布教につとめていた良忠上人のために佐助ヶ谷に建てた蓮華寺という寺が、現在地である材木座に移り「光明寺」という名前にあらためられたと伝えられています。

幕府の帰依を受けた光明寺は、関東における念仏道場の中心となりました。江戸時代には徳川家康によって、念仏信仰と仏教研鑽の根本道場として、関東十八檀林(幕府が定めた学問所)の筆頭寺院におかれ、全国から学問と修行のため、多くの僧侶が集まりました。
浄土宗の「お十夜」発祥の寺でもある光明寺は、現在でも毎年10月12日から15日にかけて「十夜法要」が行われます。境内に露店が並び、昼夜を問わず多くの参拝客で賑わいます。

鎌倉で最大規模の山門

光明寺へのアクセスは、バスが便利。鎌倉駅から逗子駅行きのバスに乗り、「光明寺」というバス停で下車すると、すぐ目の前が光明寺です。
バスを降り光明寺へと向かう途中、光明寺が浄土宗の関東総本山であることにちなんで、「関東総本山」と刻まれた石碑が立っています。

石碑を越えると、目の前に光明寺の入り口である総門が見えてきます。総門は明応4年(1495年)に建立され、寛永年間(1624〜28年)に再興されました。
屋根裏の木組みが見事な総門は、鎌倉市の文化財に指定されています。

総門をくぐると駐車場があり、その向こうに堂々とした山門が立っています。
弘化4年(1847年)建立の山門は、県指定の重要文化財。間口約16メートル、奥行き約7メートル、高さ約20メートルという、鎌倉に現存する寺院として最大の格式を備えています。

山門は、五間三戸二階二重門(ごけんさんこにかいにじゅうもん)と言われる門で、正面から見ると柱で5つに間仕切りされており、中央の3つの間にある両開きの板度が入り口となっています。また、一階が和風、二階が中国風という、和様と唐様の折衷様式で建てられています。

山門二階からの見事なオーシャンビュー

山門は、時期により中を拝観することもできます(拝観料500円)。
屋根裏部屋へ入る気分で木の階段を登り、二階へ。

山門楼上である二階には、中心に釈迦三尊・四天王が祀られ、その両側には十六羅漢が安置され、お寺の入口である山門で外界から法と人を護っています。

十六羅漢とは、お釈迦様の弟子の中で特に選ばれた十六人たち。色とりどりに着彩が施された十六羅漢は、一体一体、まるで語りだしそうなくらい表情豊かで、ずっと見ていたくなる魅力があります。

山門の二階は、窓からのオーシャンビューも見事。材木座海岸、由比ヶ浜、江ノ島、そして富士山まで一望できる、気持ち良い眺めを堪能できます。

桜一色に染まる境内

山門の向こうには、広々とした境内が広がります。

桜の名所として有名な光明寺は、春に見頃を迎えると境内が桜一色に染まります。境内の奥にある幼稚園の子どもたちや保護者、参拝客などゆっくりと桜を楽しむ方の姿もちらほら。

山門が拝観できる時は、山門二階からも境内に広がる満開の桜を一望できます。

境内の見どころをいくつかご紹介します。

■本堂(大殿)

境内の奥に、桜に囲まれ堂々と佇んでいるのが本堂(大殿)。元禄11年(1698年)に建立された本堂は、現存する木造の古建築として鎌倉最大級の大きさを誇ります。
中には、本尊の阿弥陀三尊像をはじめとする諸仏が祀られています。
なおこちらの本堂は、2019年11月から10年計画で大規模な保存修理工事が始まったため、現在は堂内に入ることはできません。

■開山堂(仮本堂)

本堂の工事中、仮本堂となっているのが本堂左手にある開山堂です。
開山堂には、光明寺を開山した良忠上人(記主禅師)が祀られています。本堂(大殿)修理工事に伴い、本堂に祀られていた阿弥陀如来および諸尊像は、開山堂にて参拝が可能となっています。

■記主庭園

開山堂の奥に広がるのが、記主庭園とよばれる浄土宗様式の庭園。回廊からは、法然上人800年大御忌を期して建てられた「大聖閣(たいしょうかく)」を拝むことができます。

池のほとりには、桜の木も。夏になると池一面が蓮で満開となり、7月には蓮を見ながら抹茶をいただく観蓮会も行われます。

裏山からの展望は「かながわの景勝50選」

境内をたっぷり散策したあと、ぜひ訪れたいのが境内の裏山にある展望台。本堂の右手を道なりに進み、「景勝展望台」という案内に従って5分ほど小道を登っていくと、ウッドデッキが見えてきます。

ウッドデッキからは、材木座海岸、稲村ヶ崎、江ノ島、そして富士山まで見渡せ、この光明寺裏山からの眺めは「かながわの景勝50選」にも選ばれています。

海が前に広がり、気持ちの良いオーシャンビューを味わえる光明寺。総門を出て道を渡ると、すぐに海岸へ出ることができます。
境内を散策したあとは、海岸でゆったりとした時間を過ごすのもおすすめ。

お寺の静謐な空間とともに、鎌倉ならではの海の景色も感じたい方には、ぜひ一度訪れていただきたいお寺です。

寺院名光明寺
住所〒248-0013
神奈川県鎌倉市材木座6丁目17-19
電話番号 0467-22-0603
拝観時間6:00〜17:00
(10月15日~3月31日:7:00~16:00)
拝観料無料
URLhttp://komyoji-kamakura.or.jp/
記事を書いた人
逗子在住。外資系出版社勤務の傍ら、2016年よりライターとして活動開始。2020年2月よりフリーランス。街角の園芸活動や植物に魅了され「路上園芸学会」を名乗り魅力を発信。 ウェブメディアを中心に、街歩きや植物に関する取材記事、インタビュー記事などを執筆。2016年よりデザイナーの藤田泰実とともに路上観察ユニット「SABOTENS」としても活動。組み合わせると路上園芸の風景が作れる「家ンゲイはんこ」の制作や、国内外での作品展示・グッズ販売を行う。