鎌倉大仏を10倍楽しむガイドブック【大仏の特徴・見どころ】

2024.06.07

日本はもちろん、海外からも日々多くの参拝者が訪れる「鎌倉大仏」。鎌倉のシンボルとして親しまれる存在のため、鎌倉観光の定番スポットですよね。地元鎌倉に住むバズトリ編集部員としても、幾度と訪れたくなります。

しかし「有名だから」という理由だけで、何も知らずに鎌倉大仏に行くのはもったいない!鎌倉大仏への参拝が何倍にも楽しくなるよう、壮大な鎌倉大仏の魅力的なポイントと見どころを紹介します。

鎌倉大仏について

鎌倉大仏殿(提供:鎌倉市観光協会)
  • 正式名称:国宝 銅造阿弥陀如来坐像(どうぞうあみだにょらいざぞう)
  • 大きさ:約11.3m/約121t

鎌倉大仏は、「高徳院(大異山高徳院清浄泉寺)」という、浄土宗のお寺の中にあります。高徳院のご本尊こそが、鎌倉大仏殿なのです。

鎌倉大仏の正式名称は、「銅造阿弥陀如来坐像」と言います。国宝に指定される仏像で、「長谷の大仏」という別名でも知られています。

その大きさは約11.3m、重さは約121t。何度見てもその壮大さに、圧倒されます。鎌倉の空と自然を背負いながら、ずっしりと威厳を持って佇む姿は、天気によっても違った見え方をするので魅力的。

その歴史のはじまりは、1252年(建長四年) とされていますが、実は創建当時の記録が少なく、不明な点も多いと言います。しかし770年以上もの長い間、鎌倉の歴史を見守ってきたことを考えると、鎌倉にはなくてはならない存在と言っても過言ではないでしょう。

1369年(応安二年) には大風、1498年(明応七年) には大地震での損壊という大きな試練を乗り越えて、今日も私たちを見守ってくださる存在はとても偉大ですよね。

【心を静める】鎌倉大仏のポーズ

横から見上げた鎌倉大仏殿

仏像によって、ポーズが異なることをご存知ですか?両手の位置や指の形を使って仏さまの状態を表現するポーズを、「印相(いんそう)」と言います。

鎌倉大仏:阿弥陀如来坐像の印相は、両手の指で2つの輪を作っている「阿弥陀定印(あみだじょういん)」。これは仏さまが、深い瞑想をしている姿です。

極楽浄土の教主と言われる阿弥陀如来が、心を静めている姿だと想いながら鎌倉大仏を見上げると、より一層ありがたみを感じるのではないでしょうか。

鎌倉大仏の部位別説明

鎌倉大仏の顔の部位にも、注目すべきポイントがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

▼螺髪(らほつ)

大仏さま特有のブツブツした髪型を、「螺髪(らほつ)」と言います。これは、悟りを開いた最も偉い仏様の髪型。大仏さまが人間を超越する存在であることを表します。高い位置にあるので、その形をまじまじと見ることは少ないのですが、実はただのブツブツではなく、巻貝の様に渦巻状の形をしています。

奈良の大仏(東大寺)をはじめ、多くの大仏像では右巻きの螺髪が一般的ですが、鎌倉大仏は珍しい左巻き。さらに螺髪全体の大きさは奈良の大仏の方が大きいのに対して、螺髪の数は鎌倉大仏の方が多い点も注目したいポイントです。

  • 鎌倉大仏:656個
  • 奈良の大仏:492個

▼白毫(びゃくごう)

鎌倉大仏の眉間にあるものを、「白毫(びゃくごう)」といいます。実はこれは、白い毛のかたまりを表現したもの。仏さまはこの白毫から光を放ち、世界中を照らしていると言われています。

▼真青眼相(しんしょうげんそう)

鎌倉大仏は、清らかさを表す紺青色の瞳「真青眼相(しんしょうげんそう)」。少し伏し目がちなこの瞳は、何事も良く見通すとされています。実際に正面に立ってみると、仏さまがこちらを哀れむように目が合って、すべてを悟られているようにも感じることでしょう。

このように、一度見たことがある鎌倉大仏であっても、意味をしっかり理解して見ると、また違った見方ができます。ぜひ大仏さまと、しっかり向き合ってそのお姿をじっくり見つめてみてくださいね。

寺社名高徳院(大異山高徳院清浄泉寺)
住所神奈川県鎌倉市長谷4丁目2-28
アクセス江ノ電長谷駅から徒歩7分
電話番号0467-22-0703
拝観時間【4月〜9月】8:00〜17:30【10月〜3月】8:00〜17:00(閉門15分前までに入場)
拝観料一般 300 円小学生 150 円
URLhttps://www.kotoku-in.jp/

【鎌倉大仏・高徳院】見逃せない!5つの見どころ

鎌倉大仏は壮大な大きさはもちろん、その美しさも魅力として語り継がれている仏像です。また高徳院の境内にも、歴史的な見どころが点在しています。

そこで次は、鎌倉大仏を訪れたらぜひ注目したい5つの見どころを紹介します。

鎌倉大仏の胎内

鎌倉大仏殿 内部

鎌倉大仏は、見るだけではなく「入る」こともできます。大仏さまの中(胎内)に入れるというのは、かなり珍しい体験ですよね。国宝である大仏さまの胎内に一体何があるのか、気になる人も多いことでしょう。

実際のところ、鎌倉大仏の中には、何も入っていません!大きな空間が広がっています。でも大仏さまの背中に設けられた窓から差し込む自然光を頼りに、壁面をそっと見つめてみてください。像の継ぎ目や補修跡など、歴史ある鎌倉大仏が守られてきた証が見れるというのは、貴重な歴史体験です。

ただし、胎内は自然光だけが差し込む空間となっています。訪れる時間帯や天候によっては、やや薄暗く感じることもあるので、足元には十分注意して拝観しましょう。

拝観時間8:00~16:30(閉門10分前までに入場)
大仏胎内 拝観料50円(未就学児 無料)

鎌倉大仏背後の蓮弁

鎌倉大仏背後の蓮弁

大仏さまを見つめるとなると、つい正面から覗いてしまいがち。でも鎌倉大仏像は、ぜひその背後にも注目してください!

大仏さまの背中側から台座の下を見ると、青銅でできた4枚の蓮弁(蓮の花びら)が並べられています。これらは江戸時代中期の台座修復の際に、造られたものです。当初は32枚製作される予定でしたが、4枚のみの完成になりました。

蓮の花と言えば、極楽浄土に生える花として仏教の象徴ともされている花。そんな信仰心を称えるように、連弁の表面には当時の寄進者(寄付した人)の名前が刻まれています。

大仏さまの大わらじ

茨城県常陸太田市松栄町会から奉納された大わらじ

大仏さまの右側にある休憩所には、茨城県常陸太田市の松栄町会によって奉納されている「大わらじ」が飾られています。

奉納の歴史は、1951年(昭和26年)と約半世紀以上前から。「大仏様に日本中を行脚し、万民を幸せにしていただきたい(引用:鎌倉大仏殿高徳院 公式サイト)」という想いから、旧茨城県久慈郡(現常陸太田市松栄町)の子ども達が3年に一度の制作・奉納をはじめました。

現在飾られている大わらじは、2023年2月に「松栄子供会」が制作したもの。片足の大きさが90㎝×180㎝、重さは約45㎏にもなる大きなわらじです。これを子ども達と松栄町内の人々が心を込めて作った様子を想像すると、じーん心に響くものがありますよね。

観月堂

観月堂

大仏さまを背に裏手へと進むと、桜の木に囲まれた「観月堂」があります。これは15世紀中頃に現在のソウルにあたる漢陽の朝鮮王宮内にあった建物と言われています。この地に寄付されたのは、1924年(大正13年)。山一證券の創業者である杉野喜精氏の自宅(東京都目黒区)から移築・寄贈されたものです。

その建物の中には、鎌倉観音霊場23番札所の観音菩薩立像が安置されています。三十三観音霊場めぐりの1つとして、ぜひ拝観したい場所です。

与謝野晶子 歌碑

与謝野晶子 歌碑

観月堂の斜め向かいには、明治〜昭和を代表する歌人の1人、「与謝野晶子」の歌碑があります。これは1900年(明治33年)頃に鎌倉へ訪れた与謝野晶子が、美男のような鎌倉大仏の姿を拝んで詠んだ歌だと言われています。

かまくらや御ほとけなれど釈迦牟尼は 美男におはす夏木立かな 晶子

鎌倉大仏殿の姿を詠んだ与謝野晶子の歌

直訳には諸説ありますが、「夏の生い茂る木立の中で、鎌倉の仏さまは釈迦牟尼ながらもとても美男でいらっしゃる」という意味だとされています。きっと与謝野晶子も、大仏さまの凛々しさに見惚れた1人なのでしょうね。

ただし、鎌倉大仏は釈迦ではなく、阿弥陀如来。その指摘を受けて、与謝野晶子も改作をしていますが、原作こそが価値があるものとして、評価されています。

また歌碑に刻まれた達筆な文字は、与謝野晶子直筆を模して彫られたもの。この点からも、鎌倉大仏を見上げた時の与謝野晶子の想いがしっかり伝わります。

四季折々の顔を持つ鎌倉大仏

いつも鎌倉の地にいらっしゃる鎌倉大仏ですが、「いつ見ても同じ」なんてことないんです。鎌倉大仏の周りには、四季折々に美しさを見せる樹木が立ち並んでいます。自然が織り成す季節の景色と鎌倉大仏を合わせて拝観すると、何とも情緒ある思い出になることでしょう。

では鎌倉大仏の四季では、どのような景色が望めるのか、詳しく見ていきましょう。

春の桜と鎌倉大仏

鎌倉大仏殿と桜(提供:鎌倉市観光協会)

春には、ピンク色の桜の花が大仏さまのお姿を華やかに彩ります。青銅の大仏像とピンクのソメイヨシノのコントラストが美しいことから、桜の名所としても有名です。

また境内の桜は、大仏さまの手前と境内の観月堂の前に咲いています。同じ桜でも、それぞれ違った情緒を堪能できますよ。

夏のサルスベリと鎌倉大仏

夏空と鎌倉大仏殿(提供:鎌倉市観光協会)

夏の鎌倉大仏の手前には、鮮やかな紅色のサルスベリの花が咲き誇ります。それはまるで、大仏さまの頬が赤く火照らしているかのよう。

サルスベリ(提供:AC画像)

そして夏の大仏さまの様子はまさに、与謝野晶子の歌碑にある「美男におはす夏木立」そのもの。大仏さまの真下から少し腰を落として、美しい夏雲が広がる壮大な青空と一緒に見上げる大仏さまのお姿も必見です。

秋の紅葉と鎌倉大仏

鎌倉大仏殿と紅葉

秋には紅葉した木々越しに、鎌倉大仏を拝むことができます。また風で揺れるススキの穂も、秋の風景を素敵に演出します。

大仏さまの周辺以外でも、境内には紅葉する木々がたくさん。紅葉の終わり際に、儚くも舞った赤や黄色の葉が境内の地面を彩る様子も素敵です。

冬の雪化粧と鎌倉大仏

雪化粧をまとった鎌倉大仏殿(提供:鎌倉市観光協会)

冬は凛と引き締まる冬の空気が、厳かな大仏さまの姿を引き立てます。さらに雪が降ると、青銅の大仏さまの身体に雪が降り積もり、雪化粧でさらに凛々しい姿に。

ただし鎌倉で積もるほどの雪が降るのは、年に1度あるかどうかの貴重な機会です。運よくその日に大仏さまを拝めたら、最高の思い出になることは間違いないでしょう。

鎌倉大仏と一緒に行きたい!カフェ&グルメスポット

大仏前商店入り口

鎌倉大仏を訪れる楽しみは、行き帰りの道中にもあります!長谷駅から鎌倉大仏殿高徳院まで続く長谷駅前通り商店街、大仏通り商店街には、お土産店や飲食店がたくさん並んでいます。国内外から訪れる観光客で賑わうその通りで、ちょっと休憩していきませんか?

今回は数あるお店のなかでも、バズトリ編集部がイチオシする2つのお店を紹介します。

KANNON COFFEE kamakura

KANNON COFFEE kamakura店舗前(画像提供:KANNON COFFEE kamakura)

長谷駅を降りて鎌倉大仏に向かって3分ほど歩くと、ブラッグが際立つウッドのベンチがある「KANNON COFFEE kamakura」にたどり着きます。

このお店の特徴的なメニューと言えば、大仏さまのビスケットが包まれたクレープ。生クリームやフルーツの隙間から、大仏さまのお顔がかわいらしく覗く様子はインスタ映え間違いなし!

大仏ビスケットは、豊富なドリンクメニューに160円プラスして付けることもできます。

左側 アップルジンジャーのクレープ/右側 いちごと抹茶ティラミスのクレープ(画像提供:KANNON COFFEE kamakura)
店名KANNON COFFEE kamakura
住所神奈川県鎌倉市長谷3丁目10-29
アクセス江ノ電長谷駅から徒歩3分
電話番号0467-84-7898
営業時間10:00~18:00
定休日なし
URLhttps://www.kannoncoffee.com/

アンティコロンディーノ

生ハムとフレッシュチーズの定番パニーノ

商店街から1本小道に入ってすぐのところにある、ノスタルジックな鎌倉を物語るような古民家レストランが「アンティコロンディーノ」。稲村ケ崎で長年愛されているイタリアン「タベルナ ロンディーノ」の姉妹店としてオープンしたお店です。

メインメニューは、生ハムサンド・パニーノ。店内入ってすぐのショーウィンドウに並ぶ、ドライトマトやチーズなどの具材が、本場イタリアの味を引き立てます。味はもちろん、和モダンな店内の雰囲気も落ち着くお店です。

店名アンティコロンディーノ
住所神奈川県鎌倉市長谷1丁目15-20
アクセス江ノ電長谷駅から徒歩5分
電話番号0467-55-5542
営業時間10:30~21:00
定休日月曜日(※祝日の場合:翌日)/月1回不定休あり
URLhttps://www.antico-rondino.com/

歴史と風情を感じる鎌倉大仏を堪能しよう!

鎌倉大仏は、鎌倉観光の中でも定番スポットといえる名所です。しかし定番だからといって、ただ見るだけではもったいない!

鎌倉大仏の歴史や特徴、見どころスポットをしっかり抑えて、鎌倉大仏の尊さを痛感できる旅にしてくださいね。

記事を書いた人
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