由比ガ浜方面から鶴岡八幡宮に向けて続く道。この道は鶴岡八幡宮の参道であり「若宮大路」として知られています。
若宮大路の中央、「二の鳥居」から鶴岡八幡宮入口にある「三の鳥居」まで約500メートル、一段高く作られた道が「段葛」です。
段葛の両脇には桜の木が植えられており、春には桜のアーチがかかり、歩く人々を魅了します。今回は鎌倉を代表する桜の名所である「段葛」の桜の見どころを紹介。

およそ840年の歴史を刻む美しい参道

1182年、源頼朝は鶴岡八幡宮の社殿から海まで一直線にのびる参道をつくりました。由比ガ浜から鶴岡八幡宮に向かって一の鳥居、二の鳥居を抜け、三の鳥居まで約2キロメートルある参拝の道。これが「若宮大路」と呼ばれています。若宮大路の真ん中、一段高く作られている道が今回紹介する「段葛」です。段葛は別名「置石」とも言われています。
鎌倉が政権所在地となり、源頼朝は都市づくりに着手しました。その一歩として京の朱雀大路を模して若宮大路、段葛が造営されたと言われています。

段葛は「吾妻鏡」によると源頼朝が妻政子の安産(二代将軍・源頼家)を祈願して築かせたものとされています。そして、源頼朝は北条時政や畠山重忠などの有力御家人とともに、土石を運んで築きました。
段葛は葛石を積んで周囲より一段高く作った参詣道ですが、段葛の名前は「葛石」に並んでいるとされています。また、段葛は当時、特定の地位につく人のみが通行を許可されていた道だとも言われています。

段葛には実はトリックがあります。段葛の入り口である二の鳥居では参道の幅が約5メートルですが、三の鳥居では約3メートルです。鶴岡八幡宮の入り口に近づくにつれて幅が狭くなっていきます。
この幅が狭くなる理由には二つあるとされています。まず一つ目は、遠近法を利用した錯覚で段葛を長く見せ、鶴岡八幡宮を遠く感じさせるため。二つ目は、敵の侵入を想定した際に、要所となる鶴岡八幡宮側を狭くすることで敵が攻めにくくなるようにしたといった防衛上の理由です。実際に歩いてみても、幅が変わっていくのが実感できます。

段葛には当初は木々が植えられていませんでしたが、1918年頃に桜が植えられたとされています。
歴史を経た段葛は桜の老化が目立つようになり、2014年から2016年にかけて桜の植え替えが行われ、100年ぶりの再整備が行われました。
現在は若木が立派に育ち、春になると約180本の桜並木が人々を楽しませます。また、新緑が眩しい季節には緑のカーテンがかかり、日差しが強い日にも涼しさを感じます。

段葛の桜の見頃

段葛の桜の例年の開花時期は3月下旬から4月上旬頃です。段葛の桜はソメイヨシノで、気温が上がり、暖かくなると一斉に満開になります。年によって開花時期は1週間ほどずれてしまうこともあります。桜を最新の桜の開花情報を調べていくことをおすすめします。

段葛の桜の見どころ

「日本の桜名所100」にも選ばれている段葛の桜。思わず美しい光景に息をのんでしまいます。日中は桜のアーチと桜の絨毯を。夜になるとライトアップで照らされた夜桜を。段葛の桜は1日を通して楽しむことができます。日中の桜と夜桜の見どころをお伝えします。

桜のアーチをくぐり抜けて歴史を感じる

桜が満開になると段葛には桜のアーチができます。二の鳥居から三の鳥居まで500メートルほど。
歴史を感じながら美しい桜のアーチをくぐり、段葛を歩くと特別な気分を感じることができます。
桜吹雪が舞った際にはシャッターチャンス。歴史と桜といった素敵な一枚を撮ることができます。

二の鳥居から鶴岡八幡宮へとのびる桜並木は美しく、絶好の撮影スポットです。

夜桜とライトアップ

日没後、段葛はライトアップされ美しい桜並木が色を変えて楽しませてくれます。
日中はピンク色に染まっていた参道は、夜になるとライトに照らされ、夜空に白く美しい花を咲かせます。鎌倉の段葛ならではのライトアップは、灯籠に明かりが灯ること。
灯籠の明かりと桜並木が続く段葛では、より一層日本らしさを感じることができます。幻想的な光景を楽しむことができる段葛の夜桜は是非とも見て頂きたい桜の名所です。
あまりに美しい景色に心が奪われることと思います。

桜並木の向こう側に三の鳥居を通して見える鶴岡八幡宮も、夜になると独特の雰囲気があります。

段葛の中からではなく、横から八幡宮と桜並木を見る光景も良い一枚になります。

鎌倉の中心で美しい桜風景に心奪われる

鎌倉の中心ともいえる若宮大路、そして段葛。春には美しい桜並木が続き、人々を魅了します。
そして段葛の桜は日中と夜では違った美しさを楽しむことができます。ピンク色に染まる桜のアーチを楽しみながら、鎌倉グルメなどを堪能し、夜にはライトアップされた幻想的な夜桜を。
歴史を感じながら参道を散歩し、桜の美しさに酔いしれてみてはいかがでしょうか?

スポット名段葛
住所鎌倉市雪ノ下2丁目1-31
記事を書いた人
鎌倉で生まれ育ち、地元が大好きな鎌倉っ子。海や山の自然、美味しい食べ物、そして歴史ある鎌倉を多くの人に知ってもらいたい、世界に広めたいと思っています。「鎌倉をもっと好きになった」と感じて頂く記事を紹介していきます。