【瑞泉寺】花の寺で過ごす自然の中での癒し時間

2024.11.13

鎌倉の金沢街道から少し入ったところにある瑞泉寺。花の寺とも呼ばれる瑞泉寺は、自然が溢れ、その場にいるだけで癒されるような、神秘的とも思える空間が広がります。
季節ごとの景色も美しく、多くの人を魅了しているお寺。関東十刹(かんとうじゅっさつ)にも数えられ、文化人とゆかりの深いお寺としても知られています。
この記事では、瑞泉寺の見どころや、四季の魅力についてお伝えします。

瑞泉寺の歴史

【瑞泉寺】新緑

瑞泉寺は鎌倉時代末期の1327(嘉暦2)年に、夢窓国師(むそうこくし)によって創建されました。夢窓国師が建立してきたお寺や庵など、景勝の地が選ばれており、瑞泉寺も自然の美しい紅葉ヶ谷に建てられています。数々の庭園を作り上げてきた僧侶としても知られており、瑞泉寺の石の庭園も素晴らしいです。

【瑞泉寺】境内のあじさい

鎌倉公方(かまくらくぼう・鎌倉府の長官)の菩提寺(ぼだいじ)となった瑞泉寺は、関東十刹(臨済宗の寺で選ばれた十の寺)に並べられる格式高いお寺。
さらに、「五山文学」と呼ばれる漢詩文学が栄えた鎌倉時代末期から室町時代にかけて、鎌倉での拠点が瑞泉寺でした。瑞泉寺の背後にある山の山頂には、偏界一覧亭(へんかいいちらんてい)と呼ばれる文学サロンのような場所が建てられ、鎌倉五山の僧たちが、詩会を催したと伝えられます。

自然に囲まれた寺院 瑞泉寺の見どころをご紹介

四季折々の美しい風景で楽しませてくれる瑞泉寺ですが、どの季節も変わらず歴史ある建造物や庭園が多くの人を引き付けています。瑞泉寺の見どころを知って、より深く散策を楽しんでみてください。

山門

【瑞泉寺】山門

瑞泉寺の山門は、多くの緑に囲まれています。
山門を抜けて振り返った風景も、緑が多く癒されるのでお見逃しなく。山門に入っただけで、思わず引き込まれるような魅力のあるお寺です。

【瑞泉寺】紅葉の時期の山門

山門は、新緑の季節ももちろん美しいのですが、紅葉の時期になるとさらに輝きを増します。趣のある山門と、赤やオレンジに染まった葉が絵になる風景を見せてくれるのです。

吉田松陰留石碑

【瑞泉寺】吉田松陰留石碑(画像:写真AC)

吉田松陰留石碑(よしだしょういんりゅうせきひ)は、瑞泉寺の山道である男坂という石段を登ったところにあります。
吉田松陰とは、江戸時代後期の長州藩の撫で、思想家、教育者としても知られています。吉田松陰が捕えられていたときに瑞泉寺の詩を詠んでおり、その詩が石碑に刻まれています。

錦屏晩鐘

【瑞泉寺】あじさいの時期の鐘楼

本堂へと向かう途中には、趣のある鐘楼があります。大晦日には除夜の鐘つきができるという、錦屏晩鐘が吊り下げられています。周辺にはあじさいの花が咲くので、あじさいシーズンには、写真撮影にもおすすめの場所です。お寺らしい風景が撮れますよ。

名勝瑞泉寺庭園

【瑞泉寺】岩の庭園

境内を進んでいくと、瑞泉寺の美しい庭園が目の前に広がります。紅葉ヶ谷を三方から山々が囲む場所に、天台山と錦屏山を背景にして庭園が作られており、数々の庭を作り上げてきた夢想国師が作ったもの。鎌倉石の岩盤に彫刻をほどこした、鎌倉ならではの特徴がある「岩庭」です。書院庭園(主に座敷や部屋から鑑賞するための庭)の先駆けとも言われ、鎌倉に残る庭園の中では、鎌倉時代唯一の庭園。

本堂

【瑞泉寺】本堂

緑の中に堂々と佇む本堂は、境内を入って奥まで進むと現れます。風格のある立派な造りで、二層になっている銅板葺の屋根が特徴的。新緑の時期には、イキイキとした緑に囲まれて、美しさが際立ちます。
徳川光圀が寄進したと言われる「木造千手観音菩薩坐像」が安置されています。

四季の楽しみ方をご紹介

鎌倉の花の寺としても有名な瑞泉寺では、四季折々の風景が美しいのも魅力の一つ。自然豊かな境内では、どの季節も人々を引き付ける季節の風景を見せてくれます。
季節ごとの瑞泉寺の楽しみ方を紹介します。

【春】枝垂れ桜と藤が風情を感じさせる季節

キャプション:【瑞泉寺】白藤の藤棚

瑞泉寺の春は、ソメイヨシノをはじめとして、ヤマザクラや枝垂れ桜が境内を彩ります。
ソメイヨシノは、瑞泉寺へ向かう総門前の道にも咲いており、お寺に着く前にも春の気分を高めてくれます。境内にも所々ソメイヨシノが色づき、さらにヤマザクラや枝垂れ桜も楽しめるとあって、自然の中で春を感じたいという人にはおすすめのスポット。
特に瑞泉寺の雰囲気と合っていて美しいと感じるのは、枝垂れ桜かもしれません。ソメイヨシノの可愛らしい美しさとは少し異なり、しっとりと風情を感じる美しさがある枝垂れ桜と歴史ある境内や庭園との相性が良いのです。
鐘楼の近くに藤棚があるので、そちらもお見逃しなく。白藤が爽やかに咲きますよ。藤色のものとは違う美しさに癒されてみてください。

【夏】苔とあじさいをしっとりと楽しむ

【瑞泉寺】苔の階段

梅雨シーズンから夏にかけての瑞泉寺の見どころは、まずは青々と苔むした美しい石の階段。新緑に囲まれた苔の階段は、吸い込まれるような魅力を持った美しさです。いつまでもその場で見ていたくなるような神秘的な雰囲気を感じさせます。苔の階段の横に歩行用の階段があり、下から両方の階段を対比して見上げると、全く異なる空間のようです。

【瑞泉寺】あじさいと新緑

苔の階段とともに楽しめるのが、あじさいの花と新緑。自然豊かな境内が、新緑の季節には緑がより一層濃くなります。癒し効果抜群なので、じっくりと境内を散策してみてください。新緑の中でしっとりとした美しさを見せるあじさいにも心奪われることでしょう。様々な色、そして種類のあじさいが咲きますよ。趣を感じる風景を見せてくれます。

【瑞泉寺】本堂前の芙蓉の花

そして、真夏の暑い時期には白い芙蓉の花が本堂前に咲きます。爽やかさを感じさせる芙蓉の花が美しいですよ。

【秋】山門の周囲の紅葉風景は息をのむ美しさ

【瑞泉寺】紅葉シーズンの山門

秋の瑞泉寺は、なんと言っても赤や黄色に染まる紅葉風景が見どころです。もみじ、かえで、いちょうが境内で色づきますが、特に必見なのが山門近くの紅葉風景。山門を囲むように赤く染まるもみじがあまりに美しく多くの人を魅了します。

写真の時は、まだ色づき始めた頃だったため葉の色が緑、オレンジ、赤のグラデーションになっています。もっと秋が深まると、真っ赤に染まり、少し散ってくると山門の上に赤い落ち葉が覆います。その様子も風情がありますよ。

【瑞泉寺】紅葉シーズンの庭園

苔の階段の近くや、庭園のところでも紅葉が見られるので、秋の風景を存分に楽しんでみてくださいね。

【冬】梅の香りがほのかに香る静かな境内

【瑞泉寺】本堂前の梅(画像:写真AC)

冬の瑞泉寺には、水仙の花や梅の花が咲きます。冬の澄んだ空気の中で見る白や赤の梅の花は、色鮮やかで目を引きますよ。庭園の近くに水仙の花、そして本堂近くに梅の花が咲き誇ります。
落ち着いた雰囲気の冬の瑞泉寺を、ぜひのんびりと堪能してみてください。

どの季節も美しい花の寺・瑞泉寺で楽しむ花散策

【瑞泉寺】豪華なあじさい風景

自然豊かな場所にある瑞泉寺は、鎌倉の花の寺として知られていて、どの季節も魅力的な花の風景を楽しむことができます。今回は、お寺の見どころと、季節の楽しみ方をお伝えしました。
鎌倉の中心地からは少し奥まったところにあるお寺ですが、自然の中でゆったりとした時間を過ごしたい時に訪れたい場所。庭園も迫力があるので必見です。
瑞泉寺の美しい花々や緑に囲まれて、心が解放されるような癒しの時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?

スポット名瑞泉寺
住所神奈川県鎌倉市二階堂710
アクセスJR「鎌倉駅」より京急バス「大塔宮バス停」徒歩約10分
電話番号0467-22-1191
拝観時間9:00~17:00
URLhttps://www.kamakura-zuisenji.or.jp/
記事を書いた人
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