文化

変化しつつも継承され続ける鶴岡八幡宮の節分祭

2023.07.25

鎌倉のシンボル的な観光地である鶴岡八幡宮。毎年立春の前日である2月3日に節分祭が行われます。
例年では厄除・開運のご祈祷の後に鳴弦の儀と豆まきが盛大に行われ、老若男女問わず多くの方が訪れる行事です。
1年のはじめの行事として重要視され、受け継がれてきた鶴岡八幡宮の節分祭とは?

歴史ある鎌倉観光の中心スポット

鶴岡八幡宮は鎌倉幕府と共に始まり、鎌倉の中心として鎌倉の発展を見守り続けてきました。多くの歴史的な出来事や伝統文化が、この地で生まれてきたと思うと感慨深いものがあります。
「武士の守護神」としてあがめられてきた鶴岡八幡宮の歴史は、源頼朝の祖先である源頼義が京都の石清水八幡宮の分社を由比ガ浜に祀ったことが始まり。その後、源頼朝が現在の地に鶴岡八幡宮の基礎を作り発展させてきたのです。

画像提供:PIXTA

源頼朝は鶴岡八幡宮を崇拝しており、鎌倉幕府の重要祭事である放生会や流鏑馬、相撲、舞楽などの今日まで継承されている祭事を境内でとり行いました。
特に流鏑馬に関しては、今でも9月の例大祭に「流鏑馬神事」として、鎌倉武士さながらの衣装に身を包んで神事が行われており、多くの人が訪れる人気のイベントとなっています。その迫力には目を引き付けられてしまうほど。鶴岡八幡宮は、東国社会の精神的・社会的中心だったのです。

多くの人が夢中になる賑やかな節分祭

鎌倉の中心である鶴岡八幡宮。
ここで行われる節分祭は、国内外からの観光客や地元民など多くの人が訪れる一大イベントとなっています。豆まきには相当の人数が集まるので、整理券が配られるほど。鎌倉で大人気の節分祭では、どのようにして福をつかむことができるのでしょうか?

節分祭は本殿での鬼払いの祭事から

節分というと、まずは豆まきをイメージするかもしれません。しかし神社などの節分行事では、豆まきの前に祭事が執り行われることがほとんどです。その祭事は追儺会法要などと呼ばれ、鬼を払うための行事。

鶴岡八幡宮の場合、一般の方は通常参加できず、神職の方と撒豆奉仕者のみで厳粛に行われます。この場で神職の方は、祭儀の後の「鳴弦の儀」で使うための弓矢を授けられるのです。
一般の方は、神職の方と撒豆奉仕者が大紋衣装で本殿へ上り下りする姿を静かに見守ります。源実朝の悲劇の舞台となったと言われる鶴岡八幡宮の大石段は、やはり迫力を感じられます。
例年は、撒豆奉仕者である年男・年女は舞殿へとおりてくると、大石段で記念撮影が行われ「鳴弦の儀式」へ。

悪鬼邪霊を追い払う鳴弦の儀式

祭儀で弓矢を授けられた神職の方が、舞殿で『鳴弦の儀式』を奉仕します。
「弦を鳴らす」と書くように、この時には実際に矢は放たずに弓の弦を鳴らすのです。弓の弦を鳴らす音で悪鬼邪霊を追い払うという意味をもつ行事。
厳かな雰囲気の中でお祓いと共に「鳴弦の儀式」が行われた後は、同じく舞殿で豆まきが行われます。

老若男女が福を掴む

節分祭のメインともいえる福豆拾い。これを目当てに鶴岡八幡宮の節分祭に参加する方も多いはず。
整理券を持った人のみが舞殿の近くに入ることができます。
多くの人が舞殿をぐるっと取り囲み、ミス鎌倉の方など撒豆奉仕者が撒く豆を拾います。豆まきが始まると、周囲は混乱状態に。参加者の方たちは福を掴むために豆に集まるため、しゃがむことができない状態になることもあるそうです。

鶴のマークの豆の袋に「当たり」と書いてあれば、「福物」と言われる福袋に交換してもらうチャンスも。豆まきに参加できなかった方や豆をもらえなかった方に、無料で豆を配布するなどの配慮があるのも嬉しいポイントです。福豆拾いに参加できない子供やお年寄りの為にも、福物が配布されます。
多くの方が福を掴むために夢中になる節分祭。鶴岡八幡宮では芸能人が多く参加するわけではありませんが、歴史ある場所で悪鬼邪霊を追い払い、福を掴みたいと願う方は多いようです。

2023年の節分祭の様子とは?

コロナ禍になってから、従来の形を変えて行わざるを得ない状況になっている様々な行事。
鶴岡八幡宮の節分祭も例外ではありません。
節分の行事を中止にする寺院などが多い中、鶴岡八幡宮はどのような形で節分祭を行ったのでしょうか?

堂々たる雰囲気の中で執り行われた祭儀と鳴弦の儀

2023年は感染症予防のために福豆拾いは中止となり、例年は本殿で行われる祭儀が、お祓いと鳴弦の儀と同じように舞殿で行われる形となりました。例年ほどではないものの、境内には多くの人の姿が。

神職の方々が舞殿の手前で清めの儀をした後に舞殿へと向かい、粛々と神事とお祓いが行われます。一般の方たちは、静かに祭儀の雰囲気を感じながら、行事の流れを見守っていました。

それが終わると鳴弦の儀へ。弓の弦の鋭い音が印象的に境内に鳴り響きました。凛々しく弓の弦を引く神職の方の姿は、写真に収めたくなる光景です。

その後の豆まきはなかったため、鳴弦の儀をもって節分祭は終了。
豆まきがなく盛り上がりに欠けるかと思いきや、いつもは見ることのできない祭儀を間近で見ることができて、満足度が高いとも感じられました。
コロナ禍ではあったものの、いつもとは少し違う楽しみ方のできる節分祭が行われました。

鎌倉の中心スポットで邪気を追い払

鎌倉で一番の盛り上がりを見せる鶴岡八幡宮の節分祭。福豆拾いの時には、多くの方が福を掴むために夢中になります。
世の中の状況によって形が変わることもあるイベントですが、歴史のある鶴岡八幡宮の節分祭に、一度は訪れて邪気を払ってみてはいかがでしょうか?

寺院名鶴岡八幡宮
住所鎌倉市雪ノ下2丁目1-31
電話番号0467-22-0315
拝観時間10月~3月:6:00~21:00
4月~9月:5:00~21:00
URLhttps://www.hachimangu.or.jp/
記事を書いた人
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