御成通りに誕生した「まちの縁側」。築70年の一軒家が生まれ変わった複合スペース『とすいハウス』へ|2026年春の新スポット
春の足音が聞こえ始めた鎌倉。お寺巡りや海辺の散歩もいいけれど、路地裏に隠れた新しいスポットを訪ねる「鎌倉の街歩き」も楽しいものです。
2026年3月6日、鎌倉駅西口から徒歩2分の御成通り商店街の一角に、新たな空間が誕生しました。築70年余の一軒家をリフォームした小規模複合スペース『とすいハウス』です。
御成通りにすっと溶け込みながらも、どこか懐かしく温かい空気が漂う『とすいハウス』の魅力と、そこに集う個性豊かなお店たちをご紹介します。
昭和の面影を残す、暮らしの延長線上にある商い

「とすいハウス」は、昭和29年に建てられた一軒家を活用して生まれました。「とすい」という名前は、建主である山村源治さん(大正5年生まれ)が用いていた雅号「砥水(とすい)」に由来しています。「砥石に水を含ませ、静かに手を動かしてものを磨く」という日々の営みを丁寧に積み重ねる姿勢を表す言葉通り、長く家族の暮らしを支えてきた家が、これからの時代にも開かれた場所として生まれ変わりました。
特徴的なのは、4畳半、6畳、8畳といった、かつての「暮らしの間取り」をそのまま店舗区画として活かしていること。耐震補強などの改修を行いつつも、古い家の佇まいはそのまま。完全に仕切られたテナントではなく、声が届き、気配が伝わる距離感のなかで、工芸品、飲食、花、衣服など、個性あふれる小さな店が寄り合っています。
現在、この場所を家族とともに運営しているのは、山村さんの孫に当たる石原さん。
石原さんは
「この家に残る天井や建具、土壁のたたずまいを『懐かしいね』『味があるね』と感じ、お隣との関係を大切にしながら、ご自身なりの商いを育てていこうとされている方に出店してもらいたい――そんな思いがありました」
と話します。

部屋ごとに新しい物語に出会える、個性豊かなお店たち

1階と2階の各部屋には、それぞれの店主の思いが詰まったお店が並びます。まるで誰かのお家に遊びに来たような感覚で、お気に入りを探してみませんか。
1F:縁側のように開かれた空間と、美味しいテイクアウト

御成通りに面した側には、以前から親しまれているヨーロッパのアンティーク雑貨『INCENSE』とヨガ・ヒーリング専門店『Purushana』がお店を構えています。

そして今回、元住居部分だった奥のスペースに新しいお店がオープンしました。
HemingArts Onari Kamakura(元お台所)

日々の生活を豊かにしてくれる、暮らしの道具とアートのお店です。店内には、日本の作家による器のほか、フランスやイタリアのカトラリーなど、国内外から選ばれた品が並んでいます。日常にそっと寄り添う温かさと、アートのような遊び心が感じられる実用性と美しさを兼ね備えたアイテムが揃っています。
ilu kamakura ゆげ(元茶の間)

梶原にある人気カレー店の姉妹店。ホカホカと湯気の立つマントウサンドをテイクアウトできるお店で、鎌倉散歩のお供にもぴったりです。
とすいハウスの中でも、いちばん早くオープンするお店で、朝8時半から営業しているのも嬉しいところ。朝の鎌倉を歩きながら、温かい一つを手にしたくなります。
柚月木(ゆつぎ)(元和室)

一輪の花と、一杯のナチュラルワインから楽しめるお店。店内には、思わず心を奪われるような美しい空間が広がっています。
立ち飲みスタイルなので、ふらっと立ち寄って気軽に一杯楽しめるのも魅力。軽いつまみもありますが、同じ1階にある「ゆげ」のマントウサンドを持ち込んで、お好きなドリンクと一緒に味わうのもおすすめだそうです。
2F:一日の余韻を静かに楽しむ、くつろぎのフロア

階段を上がると、かつての生活空間がまた違った表情を見せてくれます。
yoi-宵-(元和室)

床の間のある和室にオープンした、昼は自家製ソーセージのホットドッグや甘味、夜は自然派ワインや日本酒とおつまみを嗜むお店。夜22時まで営業しており、鎌倉の一日の余韻を静かに過ごすのにぴったりです。
MERINO(元子ども部屋)

ヨーロッパの上質なベビー・子ども服を扱うセレクトショップ。小さな店内には、思わず手に取りたくなる愛らしいアイテムがぎゅっと並びます。なかでも、動物モチーフのボンネットはギフトにも人気。小さな空間に小さな洋服が並ぶ光景は、それだけで心がくすぐられる可愛らしさです。
ひよりノこま(3畳の小部屋)

「鎌倉でちょっとお店を開いてみたい」「自分の作品を試しに販売してみたい」と思う方が、気軽に小さく挑戦できるように設けられたスペースで、3か月単位で借りることができます。取材時は「ドライフラワー花香」が出店中でした。今後、様々な店舗が展開される予定です。
家族の思い出が詰まった建物を感じながら

個性豊かなお店が集うこの温かな空間。実は、2025年の1月ごろまでは、石原さんのお父様が暮らしていました。けれど、ご病気をきっかけに高齢者施設に移ることに。
石原さんをはじめ、家族はそれぞれ別の家があり、「この家をどうしようか」という状況に直面します。
手放すという選択肢もある中で、祖父母と過ごした懐かしい風景や、夏休みのたびにこの家を拠点に海へ山へと遊びに来ていた親戚たちの思い出を、自分の代でゼロにしてしまうことはできない。さらに、この家を手放してしまったら、自分たちはもう気軽にここへ立ち寄ることもできなくなってしまう──姉妹とその家族で話し合いを重ね、「この家を、いつでもだれでも気軽に来られる、開かれた形で残そう」という結論に至りました。
家の再生プロジェクトは静かに動き始めました。地元の不動産会社にも相談し、かつての生活空間をそのまま活かした「寄り合いアパート」のような構想が生まれます。
リノベーションで大事にしたのは、なるべく住んでいた頃の家の雰囲気を残すこと。最後まで迷ったそうですが、その思いから、2階は靴を脱いで上がるスタイルになっています。

誰でもひと息つける、ひらかれた「まちの縁側」

そんな「とすいハウス」全体を貫くコンセプトは「よりあいノま」。買い物を楽しむだけでなく、訪れる人や地域の人々が思い思いの時間を過ごせる工夫が随所に散りばめられています。
1階のテラス(庭)や2階のウッドデッキにはベンチが設置されており、誰でも自由に座って休憩することができます。御成通りの風景を眺めたり、風や光を感じたりと、商店街のなかで静かに過ごせる「まちの縁側」として機能しています。
暖かな春の陽気に誘われて、鎌倉の新しい「まちの縁側」へ、ふらりと出かけてみませんか。
| 名称 | 鎌倉御成・よりあいノま とすいハウス |
| 住所 | 神奈川県鎌倉市御成町10-3(鎌倉駅西口より徒歩2分) |
| アクセス | 鎌倉駅西口から徒歩2分 |
| 営業時間 | 店舗ごとに異なる(下部に記載) |
| https://www.instagram.com/tosui_kamakura |
【店舗情報】
INCENSE
https://www.instagram.com/incensekamakura
11:00-18:00/水休
Purushana
https://www.instagram.com/purushanayoga
11:00-18:00/不定休
HemingArts Onari Kamakura
https://www.instagram.com/hemingarts
12:00-17:00/水・木・不定休
ilu kamakura ゆげ
https://www.instagram.com/yuge_ilu_kamakura
8:30-17:00/無休
柚月木
https://www.instagram.com/_yutsugi_/
12:00- /火休
※営業時間は曜日により変動。Instagramをご確認下さい。
yoi-宵-
https://www.instagram.com/yoi_kamakura
12:00-16:00(Cafe)17:00-22:00(Dinner)/水休
MERINO
https://www.instagram.com/merino.official__/
11:00-16:00/不定休
※営業日はInstagramをご確認下さい。
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