鎌倉で『洪鐘弁天祭』が開催!60年に一度の特別な瞬間

2024.01.19

2023年10月29日に、円覚寺と江島神社、そして地元・山ノ内地区にお住まいの人々が中心となって『洪鐘弁天祭(おおがねべんてんさい)』が開催されました。当日は、60年に一度の貴重な祭礼の様子をひと目見たいと訪れた多くの人々で溢れかえっていました。
今回の記事では、洪鐘弁天祭(以下、洪鐘祭)当日の様子を含め、歴史や見どころについてお伝えします。

歴史と文化が詰まった『洪鐘弁天大祭』とは

洪鐘祭は、今から約700年以上も昔、鎌倉幕府第9代執権の北条貞時(ほうじょう さだとき)が鎌倉山ノ内にある円覚寺に『洪鐘(おおがね)』を造ったことから始まりました。祭礼が始まって以来、約60年に一度の頻度で行われています。まずは、その歴史や目的について見ていきましょう。

洪鐘の鋳造にかけた北条貞時の想い

円覚寺の様子

北条貞時の父である北条 時宗(ほうじょう ときむね)は、円覚寺の開祖として知られています。「国を災難から守り、禅の教えを広めたい」と願って円覚寺を建立した父の遺志を受け継ぎ、貞時は鐘を造ろうと決意しました。

しかしその試みは、二度失敗に終わってしまいます。そこで貞時は円覚寺の住職に相談し、江の島に参籠(ある期間篭って祈願すること)したところ、鐘造りに成功したのです。そして鋳造されて以来、多くの人々の祈りを集めてきました。

洪鐘の鋳造の成功を祝う歴史ある祭礼

人々に見守られる洪鐘

多くの人にとって大切な存在となった洪鐘の鋳造の成功を祝ったのが、洪鐘祭の始まりです。最も古い資料では、洪鐘祭の歴史は室町時代にまで遡ります。

洪鐘祭は、円覚寺と江島神社が神事と仏事を行い、盛大な祭礼行列を催す祭礼。賑わう華やかな祭礼の様子は、江戸時代や明治時代の絵巻物にも描かれています。これまで、円覚寺の建立の目的や洪鐘の歴史を再確認し、後世にその想いを受け継ぎたいという想いを持って、洪鐘祭は続けられてきました。

天災に見舞われながらも継承された伝統

洪鐘祭の開催は60年に一度。庚子(かのえね)の年に行われてきました。
共同で洪鐘祭を行う江島神社と円覚寺の弁財天は「夫婦弁天」と呼ばれ、この洪鐘祭で60年に一度出会うと伝えられています。

60年に一度開催とされてはいますが、前回は天災に見舞われて延期され、65年をあけて開催されました。そして、今回の洪鐘祭もコロナの影響で3年延期されましたが、多くの人々の想いが結集し無事に開催されたのです。

賑わう様子に魅了される!洪鐘弁天大祭の見どころ

2023年10月に開催された洪鐘祭は、周辺の道路は交通規制が行われ、たくさんの人の協力の元開催されました。地域の人や、遠くから訪れた人たちで賑わった洪鐘祭の見どころや魅力をお伝えします。

無形民俗文化財に指定された『江の島囃子』の賑わい

行列の序盤に現れる江の島囃子(えのしまばやし)は、多くの人々が参加しており、神奈川県無形民族文化財に指定されています。三味線やチャルメラなど、珍しい楽器を使うのが特徴のお囃子。

洪鐘祭に毎度参加する訳ではないようですが、お揃いの衣装を着て練り歩く姿は、お祭りらしい賑わいがあり、惹きつけられるものがありました。さらに衣装の他にも、彩がきれいな旗が掲げられるなど、華やかさもある行列です。

多くの人を惹きつける『八雲大神輿』

八雲大神輿

行列の中でも大きな賑わいを見せたのが、『八雲大神輿』です。八雲神社の御神輿に、洪鐘の御神体の弁財天様が乗っているとのこと。

「えっさ!ほいさ!」の掛け声と共に、大迫力の御神輿が通ります。その周りを多くの人が取り囲んで、連なっているのが印象的です。背中に「洪鐘」と入った法被(はっぴ)を着て、想いを一つにしていると感じられました。その勢いのある姿に魅了された人も多いのではないでしょうか?

伝承されるお面に圧倒される『面掛行列』

古くから伝わるお面が印象的な『面掛行列』。現在は、鎌倉の坂ノ下地区のみに伝わるものですが、かつては山ノ内地区でも行われていたそうです。

伝承に基づいた7つの面を付けた人々が練り歩きました。

  • 天狗
  • 鳥天狗
  • 布袋
  • おかめ
  • とりすけ

装束もしっかりと復元され、圧倒される存在感を放っていました。

子どもたちと造る迫力満点の『洪鐘張子』

洪鐘張子

洪鐘祭では、本物の洪鐘は運ぶのに重すぎるため、行列には張子(はりこ)の洪鐘が現れます。四神(東西南北を守る四隅を守る神様)の後に洪鐘を見ることができましたが、本物にも劣らない大迫力。形はもちろんのこと、色味なども再現性が高いものでした。
張子とは、竹や木などで組んだ枠や型に紙などを貼り付けて造る造形技法の一つ。こちらの張子は地域の子どもたちがワークショップを通じて造ったという点にも注目です。将来を担う子どもたちも関わっているとのことで、60年後のお祭りにも繋げていきたいという想いが感じられます。
国宝に指定された本物の洪鐘は、円覚寺の弁天堂の向かいにありますので、そちらもぜひ一度見てみてください。

円覚寺と江島神社という神仏習合の珍しさ

最後に紹介する洪鐘祭の見どころは、洪鐘を完成させるために関わった円覚寺と江島神社が一緒になって行う儀式だということ。お寺と神社が神仏習合(神道と仏教が結びついた現象)という形で行う祭礼は珍しいものですが、洪鐘祭は歴史的な背景から実現しています。
さらに、洪鐘祭の開会式は建長寺で行われ、地域の氏神様である八雲神社も関わってくるなど特殊な祭事と言えるでしょう。

2023年の洪鐘弁天大祭当日の様子

洪鐘弁天大祭当日

2023年10月29日に、約60年ぶりに『洪鐘祭』が開催されました。多くの人が見学に訪れ、今か今かと祭事の始まりを待つ様子が伝わってきます。
開会式が建長寺で行われた後、八雲神社の大榊と鉾が飾られた触れ太鼓の車から、行列がスタート。

大迫力の洪鐘

洪鐘のレプリカは、大きく迫力があり、見る人々を圧倒しながら通り過ぎていきました

周辺の熱気が一気に上がったように感じた八雲大神輿は、お祭りの中でも一番と言っていいほどの盛り上がりを見せ、盛大なお祭りの雰囲気を感じられた瞬間です。

お囃子隊を乗せた車

その後は、8つの団体が参加するお囃子が連なる様子も。地域の子どもたちが太鼓を叩いていたり、楽しそうに参加している姿が印象的でした。
このお囃子の他にも地域の幼稚園の子が稚児行列に参加しており、地域の子どもや学生さんも多く関わっている祭礼で、みんなで作り上げて実現している点に心が動かされました。

60年後の洪鐘祭を盛り上げてくれるであろう子どもたちも巻き込んで、一緒に作っていくことで、実行委員会の方々の強い想いはしっかりと伝承されているのではないでしょうか。そして洪鐘祭は、子どもたちの他にも多くの大人たちの心にも刻まれる祭礼になったことでしょう。

スポット名円覚寺
アクセスJR横須賀線「北鎌倉駅」下車徒歩1分
住所神奈川県鎌倉市山ノ内409
拝観時間3月~11月:8:30~16:3012月~2月:8:30~16:00
拝観料大人:500円(高校生以上)小人:200円(小中学生)
電話番号0467-22-0478
公式URLhttps://www.engakuji.or.jp/

残し続けていきたいという強い想い『洪鐘弁天祭』

60年に一度開催される『洪鐘弁天祭』は、2023年も盛大な盛り上がりを見せて幕を閉じました。実行委員の方々をはじめ、地域の学生や子どもたちまでが一丸となって実現させた貴重な祭礼。円覚寺や江島神社、そして八雲神社という神仏習合、そして多彩な行列が練り歩く珍しい形のお祭りは、多くの人々を魅了しました。
60年という年月があくからこそ、後世にこの伝統を残そうと強く願う人も多いように感じます。ただ伝統を忠実に伝承するだけではなく、新しい試みも取り入れられるところも魅力的なお祭りです。
60年後の『洪鐘弁天祭』は、どのようなお祭りになるのか、とても楽しみですね。

ネット配信でも感じる洪鐘弁天祭の伝統と歴史

洪鐘祭の様子は、ネット配信で見ることができます。当日は参加できなかったけれど、60年に一度のお祭りの雰囲気を少しでも感じたいという人はぜひご覧ください!
実行委員の方が解説してくれているので、お祭りの歴史などを詳しく聞きながら見ることができておすすめです。
『洪鐘弁天祭』オフィシャルサイト・動画配信

記事を書いた人
『Buzz Trip Kamakura』は「鎌倉の楽しさや美しさを、日本はもちろん、世界の人々に広めたい」をコンセプトとした鎌倉の情報サイトです。鎌倉のWebコンサルティング会社 株式会社BEEPが運営しています。 国内外からの観光客の方々はもちろんのこと、鎌倉を訪れる全ての人たちに、鎌倉で過ごす時間や体験をより一層素晴らしいものにしていただくお手伝いを目的とし、鎌倉のファンになっていただければと考えています。 株式会社BEEPについては、こちら