【鎌倉四大寺・光明寺】念仏道場の中心で感じる文化と自然

2023.09.11

鎌倉駅より少し離れた材木座に位置する「光明寺」は、浄土宗の大本山。正式名称は「浄土宗大本山 天照山蓮華院 光明寺」といいます。
鎌倉最大級の山門を構えていることでも有名で、記主庭園や三尊五祖の石庭など、見どころ満載のお寺です。

関東総本山であり、鎌倉四大寺の1つである光明寺

【光明寺】鎌倉最大の山門

光明寺は「天照山蓮華院光明寺」という正式名称を持つ、浄土宗大本山の寺院です。
創立は1243年、鎌倉幕府四代執権の北条経時(ほうじょうつねとき)が信仰していた「浄土宗三祖然阿良忠上人」を迎えて開山されました。

【光明寺】山門からの景色

さらにその後も、鎌倉幕府第五代執権の北条時頼(ほうじょうときより)の信仰を受けて、境内に金堂・塔・講堂・鐘楼・経蔵・僧坊・食堂からなる「七堂伽藍(しちどうがらん)」を整えました。こうした背景から、後土御門天皇より関東における念仏道場の中心として「関東総本山」の称号を受けたのです。
そして関東総本山、浄土宗大本山である光明寺は現在も、「鎌倉四大寺(※)」の1つとして、名を連ねています。

※鎌倉四大寺とは:鎌倉新仏教の本山として栄えた、以下4つ寺院の総称
・浄土宗関東総本山 光明寺
・臨済宗建長寺派大本山 建長寺
・臨済宗円覚寺派大本山 円覚寺
・時宗総本山 遊行寺(清浄光寺)

光明寺の見どころ|自然・絶景・文化を堪能できる境内

光明寺は山と海に囲まれているため、自然、絶景、歴史的文化と、様々な見どころを持っている寺院と言えます。

材木座随一の桜・蓮の穴場

光明寺は鎌倉のなかでも、桜や蓮の名所として有名です。

【光明寺】境内に咲き乱れる桜

春になると、光明寺の境内そこかしこに桜が咲き乱れ、海岸からの潮の香とともに桜の香りや景色が楽しめます。
観光客にあまり知られていないため、お花見で混雑する鎌倉の中でも比較的ゆったりとお花見ができることでしょう。4月1日~10月14日は朝6時から拝観できるので、早朝の朝日に照らされる神秘的な桜の姿を拝むことができるのも魅力です。

さらに夏の光明寺は蓮の名所。夏には観蓮会というイベントも開催され、記主庭園に青々と葉を広げる蓮の姿を楽しめます。

大殿は開宗850年記念事業での令和の大改修

【光明寺】改修前の大殿

1698年に建立された大殿は、国の重要文化財に指定されるほど歴史深く貴重な大堂で、現存する木造の古建築の中では鎌倉一を誇ると言われています。

【光明寺】現在、改修中の大殿

2019年11月からは、浄土宗開宗850年慶讃記念事業として大殿の保存修理工事を実施。
建立から300年以上が経過し、老朽化が著しいため、令和の大改修として2028年までの長期にわたる事業に着手しています。
そのため現在は実際に大殿を拝むことはできないものの(※)、その改修の様子は光明寺の公式サイトでも公開されています。訪れる前にはぜひそちらを確認し、実物と見比べながらその進捗を肌で感じてみてはいかがでしょうか?

※改修中は、境内の開山堂が仮本堂となっており、阿弥陀如来などの諸尊像は開山堂に移っています。

未公開の各像や景色が望める山門の楼上公開

【光明寺】釈迦三尊像

鎌倉に現存する山門の中でも最大級の大きさを誇る光明寺の山門。
こちらも1847年に造られた歴史のある建造物です。普段は未公開となる山門の楼上ですが、例年だと春と秋にそれぞれ特別公開の期間が設けられています。

【光明寺】十六羅漢像

楼上の中には、釈迦三尊、四天王、十六羅漢の各像が安置されてます。なかでも四天王と羅漢像は、平成23年に修復され、国内ではまず見ることができないほどに彩色がとても豊かなのが特徴です。
さらに楼上から望む海岸の景色も素晴らしく、富士の名峰や江ノ島まで見渡すことができます。

光明寺裏山・天照山からの展望

【光明寺】裏山への道

光明寺の裏山は「天照山」という名前がつけられており、伝承では伊豆大島に流された源頼朝の父・為朝が天照山めがけて矢を放ったと言われています。
内藤家墓地からさらに裏山を登るほか、本堂の裏からも直接登ることもできます。

【光明寺】裏山からの昼間の景色(画像提供:光明寺)

天照山からの展望は、「かながわの景勝50選」にも選ばれている、人気の展望スポット。晴れた日には富士山や由比ガ浜を一望できます。

【光明寺】裏山からの夕陽の景色(画像提供:光明寺)

夕陽に照らされて光る水面や街並みや早朝の澄んだ空気に包まれた景色など、季節や時間ごとに違った絶景が楽しめますよ。
映画「シンゴジラ」で、ゴジラが由比ヶ浜に上陸するシーンがこの天照山で撮影されたものです。

見どころ満載の境内で楽しむ光明寺散歩

【光明寺】鐘楼

桜・蓮の名所、鎌倉最大級の山門、かながわの景勝50選など、さまざまな顔を持つ光明寺。季節ごとにさまざまな楽しみ方ができるのも魅力です。
蓮や新緑の景色を楽しめる記主庭園や三尊五祖が表現された石庭、鎌倉アカデミアの碑、良忠上人ゆかりの繁栄稲荷大明神など、境内には見どころ満載。さらに予約をすると精進料理を食べることができます。
材木座を訪れた際は、光明寺を満喫してみてはいかがでしょうか。

スポット名光明寺
住所神奈川県鎌倉市材木座6-17-19
電話番号0467-22-0603
参拝時間4月1日~10月14日:6:00~17:00
10月15日~3月31日:7:00~16:00
URLhttp://komyoji-kamakura.or.jp/
記事を書いた人
関東在住のフリーライター。街歩き・読書・映画など、ひとりで楽しめるものが好きです。