2024年10月13日に、3回目となる『なみおと盆踊り祭』が青空の下、絶景をバックに開催されました。
“絶景と踊ろう。”をコンセプトにした盆踊り祭は、地域貢献や環境問題にも目を向けたお祭りで、ローカルな雰囲気を出しつつも多くの人を受け入れてくれるような温かな雰囲気に包まれていました。
今回は、なみぼん2024のレポートとなみぼんの取り組みとその結果などについてお伝えします。ただ楽しく踊る、だけじゃない素敵な時間を提供してくれる盆踊り祭の様子をぜひ覗いてみてください。主催者の方々に、なみぼん終了後の気持ちも伺っています。
▼この記事の取材ご協力者
小川コータさん・とまそんさん
なみおと盆踊り祭を主催しているメンバー。
【小川コータ&とまそん】という湘南密着のウクレレユニットを組んで活動されています。
今回の取材では、お2人の他に運営メンバーの方々にもインタビューにご参加いただきました。皆さんのなみぼんに対する熱い想いが伝わってくる時間でした。
小林ななみさん
なみぼん実行委員のお一人。『関係案内所はつひので@材木座』という、鎌倉を訪れた人たちとまちを繋ぐ手助けをしてくれる施設を運営。
今回のなみぼんでは、環境に優しいスチールカップの導入やゴミの測定などに一役買われたということで、取材でもその経緯や意義についてお話ししてくださいました。
“絶景と踊ろう。”というコンセプトで開催されるなみおと盆踊り祭
小川コータさん談
「オンリーワンなお祭りができていると実感しています。」
2022年から開催されているなみおと盆踊り祭(以下、なみぼん)。コロナ禍でも子ども達に思い出を作ってあげたいという親心がきっかけで始まったお祭りです。年々地域に根付いてきており、コータさんのおっしゃる通り他にはない唯一無二のお祭りになってきています。
“絶景と踊ろう。”がコンセプトになっているだけあって、開催場所となっている稲村ヶ崎公園は「かながわの景勝50選」や「関東の富士見百選」にも選ばれている絶景スポット。条件が揃った時に見ることのできる、富士山と江の島、そして海の景色は、特に夕暮れ時には息を呑むほどの絶景になります。
なみぼんは、多くの人を虜にするその絶景をバックに、生演奏で踊る盆踊り祭。盆踊りの他にも、盛りだくさんのステージ内容で盛り上がります。2024年のなみぼんも、縁日やキッチンカーが出店し、地域の人も観光で訪れた人も温かく受け入れてくれる雰囲気で賑わいました。
2024年なみぼんの様子をレポート
今回で3回目の開催となるなみぼんですが、毎回しっかりと晴天に恵まれ、青空の下“絶景”をバックに盆踊りやステージを楽しむことができました。『絶景と踊ろう。』というコンセプトそのままの環境で開催されるなみぼんは、地元愛が溢れてほっこりできる上に、とても贅沢な盆踊り祭です。
この日も、コンパクトな公園に多くの人が集まりました。毎年行われるお祭りとして定着しつつあるなみぼんには、この日を楽しみにしている人たちと、偶然通りすがった鎌倉市外からの人たちが入り混じって盛り上がります。
見ているだけで明るく楽しい気持ちになれるようなステージの数々。
子どもから大人まで、ステージを楽しんでいる姿に、こちらまでたくさん元気をもらえました。
絶景を守るための環境への配慮というのも、大きなテーマとして掲げているなみぼん。鉄100%でできていてリサイクルできる「かまくらスチールカップ」を販売したり、参加者の意識が少しでも環境保護につながるように、という想いでアイデアを盛り込んで開催されています。
小川コータさん・とまそんさん談
「参加者の方たちが、なみぼんに慣れてきてくれている気がする。盆踊りも振付を覚えてくれてる人が多くなってきた気がしました。続けることが本当に大事なんだと実感します。」
そしてもちろん、盆踊りも盛り上がりました。
「稲村音頭」という、なみぼんのために作られた曲がありますが、その曲で踊れる人が多くいるほど、毎年参加するという人が増えてきたなみぼん。
熱い想いを持って準備をしているお祭りが多くの人に届いているという事実。そして主催者も参加者もみんなで作り上げてきているのがなみぼんなのです。
なみぼんから広まる取り組みの数々
なみぼんは、2022年の第一回目から大切にしている信念を変わらず貫いています。
それは、地域の人との関わりと環境配慮への想い。それぞれについて、どのような取り組みをしているのか、そしてどのような結果に繋がっているのかお伝えします。
なみぼんで深まった地域との関わり
なみぼんは、地域の人たちとの関わりをとても大切にしているお祭り。地元のお祭りとして根付かせていきたいという強い想いをもって開催されています。下記のような取り組みにその想いが現れている気がします。
- ボランティアを募る
- 鎌倉の学生団体とともに活動を行う
- 地域の協賛企業を募る
- 稲村ヶ崎公園周辺に『ご近所パートナー』や『景品パートナー』を募る …など
とまそんさん談
「次の年のなみぼんも手伝いたい!」と言ってくれるボランティアの方が増えている印象があり、ボランティアの方たちも達成感を感じてもらえているのかな、と思います。
ボランティアの方の人数は80名以上だったそうで、なみぼんへの想いに共感してくれている人たちが増えてきているのがわかります。さらに来年、再来年となみぼんが続けば、その人数も想いもより大きなものになっていくでしょう。
ボランティアの中には学生団体の方もいます。学生団体とは、「防災普及学生団体 Genkai』や『学生団体ニューコロンブス』。なみぼん前に行われるクリーン活動や当日のスチールカップ販売、防災や迷子の対応、誘導などを担当していたそうです。志が高い鎌倉市の学生さんとの活動によって、地域への貢献を果たしています。
小川コータさん談
「周辺のトイレの故障が相次ぎ八方ふさがりだったところを、ご近所パートナー「ファーマーズチキン稲村ケ崎店」さんにとても助けられました。」
また、2024年に初めて導入された『ご近所パートナー』という制度。なみぼん当日にトイレを貸してくれるお店のことです。トイレの少ない稲村ヶ崎公園で開催されるなみぼんにとっては、とても大切な存在です。
このような活動を通して、地域との関わりを持ち続ける努力を続けているお祭りなのです。
環境配慮への活動をなみぼんから
小林ななみさん談
「ゴミのないお祭りをすることで、鎌倉の美しい景色が後世に引き継がれていく、ということを目指しています。そして、段階的にごみについて考えていけたらないいなと思います。」
自分たちの暮らす地球、環境について考えて配慮することが大切なのは誰もがわかっていること。ただ、それに対して行動を起こすことができるかどうかは、また別の話になります。まず何をすればいいのかわからない、という人も多いと思いますし、一つの行動を起こすことで他に負荷がかかるのでは…と考えて実際には行動に移せないということも多いのではないでしょうか。
そこでなみぼんでは、まずは環境配慮への意識を高めるきっかけを少しでも作ろう、という考えのもと、下記のような取り組みが行われています。
- なみぼん前のクリーン活動
- ゴミ箱を設置しない
- 自然にも資源にも良いリサイクルカップの導入 …など
地域コミュニティの皆さんとのクリーン活動は、なみぼん開催前と後に行われます。これは地域の環境保全への配慮です。お祭りを開催する地域全体を綺麗に保つことで、稲村ヶ崎公園が誇る絶景や、その他地域で見られる人々の幸せな光景を守っていきたいという想いに基づいています。
そして、なみぼんの会場にはゴミ箱が設置されていません。そうすることで、自分で出したゴミを責任を持って持ち帰ったり、そもそもゴミを出さないように心がけるという意識を持つことができるのです。
小林ななみさん談
「単純にゴミを減らすだけでなく、海の再生に参加していけるということでなみぼんでも取り入れることになりました。」
さらに2024年は「かまくらスチールカップ」を販売しました。450個の購入があり、約2.5kgのゴミの削減に貢献したそうです。
「美味しく飲んだあと、海や森を元気にする」というコンセプトを持つかまくらスチールカップ。鉄100%のこのカップは、キンキンに冷えた飲み物を飲むことができます。そして使った後には、循環型社会への取り組みにも貢献できてしまうのです。
「かまくらスチールカップ」とは?
「かまくらスチールカップ」は使われなくなった際に回収され、カップを基に鉄団子を作ります。それを海に戻すと鉄の成分によって藻の再生に役立つとのこと。藻の再生が実現すると、漁業などに影響を与えていた磯焼け問題の解決、そして環境保全につながるのです。
今回のなみぼんでは、「かまくらスチールカップ」について詳しく説明を聞いて購入ができたということで、興味を持ってくださる方も多かったそうです。
小川コータさん談
「クリーン活動をしたり、お祭りの際のゴミを計測することで意識を高め、いずれは環境負荷ゼロのお祭りを目指したいと思っています。」
お祭りを楽しみながら、このような取り組みにも参加できてしまうなみぼん。
実際、ゴミでお祭り後の会場が汚れたりすることも少ないと言います。2024年はリユース食器を通したイベントのゴミ削減に取り組むNPO法人游風さんにご協力いただき、なみぼんで出たゴミの重さを測って記録することで、お祭りの環境負荷について認識し、次の環境保護活動へ繋げるきっかけ作りも行われました。
とまそんさん談
「窮屈に考えすぎずに、おもしろいと思いながらできることをなみぼんで取り入れていけたらいいなと思っています。」
まずは環境配慮への行動を少しでも起こしてみる、というきっかけ作りを手伝ってくれるお祭り。楽しむだけではなく、しっかりと参加して考えさせてくれるお祭りは唯一無二なのではないでしょうか?
小林ななみさん談
「環境保全に関してみんなが楽しくできるやり方を探し続けて、今回の取り組みが実現できたので、来年に繋げていけたら嬉しいです。
カップのデザインがかわいい、みんな持ってるから持ってみたいと直感的に買ってくれる人も多かったのも良かったかなと思います。SNSでも、海バックにスチールカップを載せてくれている人もたくさんいました!」
今後も続けていこうと思える活動内容が次々と増えていくなみぼん。
主催者の方々も、真剣に考え話し合い実行してきたことが参加者にも伝わっていることを実感して嬉しそうに話してくださる姿が印象的でした。
なみぼんのこれから
小川コータさん・とまそんさん談
「2024年のなみぼん開催前は、当日までの間に「楽しみにしてるよ。」というような声をかけてもらうことが多かったです。企業パートナーさんについても、近隣企業が増えてきていて嬉しい。」
お2人が話してくださいました。このお祭りが地域になじんで、恒例行事としての認識が広まっているということの証ですね。
実行委員のみなさん談
「期待してもらっていると思うと、今年に続いて来年も再来年も続けていきたいと思いました。」
これからのなみぼんも続いていくのだな、楽しみだなと思えるようなお話もしてくださいました。
未来像としては、地域をより一層巻き込んで、現在会場となっている稲村ケ崎公園を飛び出して地域全体でのイベントになれば…というようなイメージもしているそうです。
未来へと続くお祭り”なみぼん”
2024年も素敵な雰囲気のまま幕を閉じたなみぼん。
年を追うごとに環境が整い、整備もされ、より参加しやすいお祭りになっています。そして多くの人に認識されて、参加者が一体となって盛り上げている様子が伝わる温かいお祭りです。様々な熱い想いをもって開催されているので、とても有意義な時間を過ごせるのも大きな魅力の一つ。
未来に絶景を残し続けたい、そんな主催者の皆さんのなみぼん開催への想いを、バズトリ編集部一同、これからも応援し続けていきたいと思います。