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ブックカフェ・すきま|自分時間に、やさしい余白を

2025.09.06

── 古民家のなかで、環境と向き合うカフェタイム

由比ガ浜大通りを歩いていると、ふと視界のすみに現れる、小さな入り口。その2階に、ブックカフェ・すきま鎌倉店はあります。白い暖簾をくぐり、ちょっぴり急な木の階段をのぼっていくと、どこか懐かしさを感じる空間が広がります。午後のひとときを静かに過ごしたくなる隠れ家です。

すきま鎌倉店は、築80年の空き家をリノベーションして生まれた、ちいさな古民家カフェ。場所は、鎌倉駅西口から徒歩8分ほど。週3日のオープン日にだけ、扉が開きます。

「読書や仕事、考え事など。何かしてもいいし、何もしなくてもいい。ぼーっとしてもいい。そんな空間をつくりたくて」。

店主の言葉どおり、すきまには“自分だけの時間”をやさしく受けとめてくれる空気があります。

店内はカウンター席と小上がりの座敷席、元々は押し入れだったという空間を活用した半個室のようなボックス席が四つ。店名の「すきま」のとおり、こぢんまりとしていながら、居心地のよさとユニークさが共存しています。

自家製スイーツと、やさしさをひとさじ

すきまのカフェメニューは、「体にやさしいこと」を大切に考えられています。

グルテンフリー、ビーガン、オーガニック——そうした言葉にピンとくる人も、そうでない人も、ふと心がほどけるような味わいです。

なかでも人気なのが、自家製のグルテンフリースイーツ。定番の「バナナケーキ」は、ラム酒がふんわり香る大人の味。全粒粉やココナッツ、アーモンドプードルなど、素材の個性が重なり合うしっかりとした風味で、甘さは控えめ。茅ヶ崎のフレンチ店「ランティミテノマド」との共同開発で生まれた、記憶に残る一品です。

「ブラウニー」もぜひ試してみてください。豆腐をベースに、動物性素材を使わず仕上げたビーガン仕様。もっちりとした食感で食べ応えがあり、仕上げにふわっとふられる塩が甘さをきゅっと引き締めます。何度も試作を重ねたという、田中さんのこだわりが感じられる一品です。

ドリンクのおすすめは、「7325COFFEE(ナミニココーヒー)」による“はみ出しブレンド”。焙煎時に余ってしまった豆たちを組み合わせてつくられる、まさに一期一会の味です。ブレンドの内容はその日によって異なり、訪れるたびに少しずつ違う味を楽しめるのも魅力のひとつ。

「できるだけ体にも、環境にもやさしいものを」。そんな思いが、メニューひとつひとつに込められています。

“もったいない”から始まった、空き家再生のストーリー

この空間ができたきっかけは、大人が社会について学ぶことができるコミュニティ。メンバーの多くが環境問題に関心を持っており、空き家を再生するプロジェクトとして立ち上がりました。建物はもともと、30年以上空き家だったといいます。その再生にあたって使われたのは、一つひとつ手作業で組み合わせた“端材”でした。茶色や黒、濃淡の異なる床材が交差する足元には、規格からはじき出された素材の表情がそのまま残ります。

本棚には、ワイン箱や食品の木箱。壁には、スケートボードのパーツも。そんな空間づくりで、“もったいない”に向き合っています。

“できることから”を続けてきた、若き店主

店主の田中藍奈さん(24)は、当時プロジェクトリーダーを担い、その後、店のバトンを引き継ぎました。

実は田中さんが環境に関心を持ったのは、中学生のころ。テレビで見たフードロスの特集に心を動かされ、自分にも何かできることがあるのではとこれまで色々取り組んできました。高校生のころには地域の飲食店に「ドギーバッグ」シール(※ドギーバッグ普及委員会が取り組む、食べきれなかった料理を自己責任で持ち帰ることを推進するシール)を配ってまわり、100店舗を達成。そのころからずっと、環境に役立つような活動を一環して続けてきました。

今もその姿勢は変わらず、環境問題の情報発信をするユニット「BENIRINGO」として「茅ヶ崎FM」でラジオパーソナリティを務めて環境に関することを語ったり、仲間とフリーペーパーを発行したりと、多方面で活躍しています。

本から始まる、ちいさな出会いも

店内に並ぶ本棚にも、「すきま」らしい工夫が詰まっています。

一角には、環境活動家や社会起業家、湘南エリアで活動する人たちによる選書コーナーがあり、本のセレクトを通じて、その人の思いや視点にふれることができます。

「このエリアに、こんな活動をしている人がいるんだ」と、新しい出会いがあるかもしれません。一部の本は購入できるほか、自分の本を1冊持参すれば、棚から好きな1冊を持ち帰れる「シェア本棚」という仕組みも。

“読んで終わり”ではなく、本が人と人をつないでいくような、ちょっと特別な旅の記憶が残る場所です。

こんな人におすすめ:

  • ひとりの時間を、穏やかに過ごしたい人
  • 観光途中に、リラックスできる空間で一休みしたい人
  • 環境や社会にちょっとやさしくありたい人
  • ビーガンやオーガニックに興味がある人
店名すきま鎌倉店
住所〒248-0014 神奈川県鎌倉市由比ガ浜3丁目1−32 2F
営業時間土・日・月(13:00〜18:00)
定休日火~金
Instagramhttps://www.instagram.com/sukima.cafe/
その他コンセント、Wi-Fi利用可能

記事を書いた人
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